記事発売翌日に内容証明郵便を送付
だが、その直後、遊佐容疑者が信じ難い行動を取っていたことが今回新たに判明した。
<500万円を、本書面到達の日から1週間以内に、以下の口座宛に振り込んで支払われますよう催告いたします。(中略)貴殿から何らの支払もなき場合には、法的措置に移行いたします>
誌面が発売された翌日の昨年5月12日、遊佐容疑者はA子さん宛てに内容証明郵便を送付していたのだ。<週刊文春に対して、依頼人(編集部注:遊佐容疑者)に関する記事を掲載するよう働きかけ>たとし、精神的苦痛による慰謝料として500万円の支払いをA子さんに要求。そして、次のように記されていた。
<依頼人は、本年4月より、つくばサイエンス高等学校副校長の職に就いておりますところ、週刊文春の取材は、同項を監督する期間(ママ=茨城県教育委員会)に対しても及んでおり、依頼人の職を失わせかねない事態となっております。これ以上貴殿の行為が重なれば、依頼人は、同職を失うことを強いられ、その結果、依頼人が得べかりし所得を失うこととなり、これも貴殿が賠償責任を負う損害です>
A子さんは「今後は司法の判断を見守りたい」
つまり、A子さんが「週刊文春」に記事の掲載を働きかけ、実際に記事になったことで、副校長の職を失いかねない事態にもなったため、慰謝料として500万円の支払いを求めるというのだ。ただ、この内容証明郵便には離婚届の偽造については記載されておらず、その事実関係については争っていなかったと見られる。むろん、「週刊文春」がA子さんから記事の掲載を働きかけられた事実もない。こうして、被害を受けた側の元妻に慰謝料500万円を要求した遊佐容疑者だったが、今回、有印私文書偽造などの疑いで警視庁麴町署に逮捕されたのだった。
A子さんは取材に対し、次のようにコメントした。
「私が『週刊文春』に記事の掲載を働きかけたことはありません。離婚後の大変な時期に、ありもしないことで追い討ちをかけようとする元夫の姿勢に、憤りと悲しみを覚えました。今回、元夫が逮捕されたことは一歩前進だと受け止めていますが、今後は司法の判断を見守りたいと思います」
遊佐容疑者は逮捕前の任意の調べに対し、容疑を認めており、茨城県教育委員会も厳正に対処する方針だという。
文藝春秋が提供する有料記事は「Yahoo!ニュース」「週刊文春デジタル」「LINE NEWS」でお読みいただけます。
※アカウントの登録や購入についてのご質問は、各サイトのお問い合わせ窓口にご連絡ください。