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――試合の流れを変えることやセットプレーでの守備はもちろん、前線の選手の組み合わせもありますし、攻守に課題が山積みですね。

 前から言っているけど、アジアカップの結果を受けて、まずはチームの軸となるものを作って、それを監督自ら示していかないとダメでしょう。個人ではなく、チームとしてのボールの取り所とか、戦い方を確立していかないと、苦しい展開になった時、なかなか立て直すことが難しい。立ち戻るものがあれば、悪い流れになっても選手は落ち着いて対応ができるんです。それがないからバタバタしてしまう。

 また、森保監督は「交代カードをうまく切れなかったのが敗因」といっているけど、それを「そうですか」で終わらせるのではなく、それはどういうミスだったのかを追及していかないといけない。アジアカップでは、本当に整理すべき課題がたくさん出たなと。でも、W杯前で良かったと思います。

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©JMPA

「戦術面に詳しいアドバイザーを入れるべき」城彰二が挙げた世界トップレベルの人材とは?

――アジアカップの結果を受けて、日本サッカー協会の田嶋幸三会長は、監督解任はないと明言しました。

 個人的には、今すぐに解任する必要はないと思います。これまで積み重ねてきたものがあるし、アジアカップに負けたからといってそれをゼロにするのは得策じゃない。協会が続投を支持したのも、森保監督の実績と今後への期待があるからだと思うんです。

 これまで選手に任せっきりでやってきたけど、どう修正していくか。それを見せていくことが必要だし、それができないと選手の信頼は得られない。そうなったら解任しかないでしょう。

――森保監督の次の候補の名前も挙がっていましたが。

 森保監督の次の日本人監督って非常に難しいと思います。トルシエさんからハリルホジッチさんまで、オシムさんが倒れて緊急登板の岡田さんの時は除いて、基本的に外国人監督が続いたじゃないですか。今の代表は、海外組ばかりなので外国人監督への抵抗感はないかもしれないけど、代表活動の時間が限られているし、細かいところまで伝わるかというと通訳の問題もあってなかなか難しい。

 日本人でいくならそれでもいい。でも、サポート役というか、戦術面などについて詳しいアドバイザーを入れるべき。合宿や大会に来てもらって、いろんな助言をしてもらう。ユルゲン・クロップ監督とか、世界のトップがやってくれるとだいぶ変わると思います。

――3月にはW杯予選が再開しますが、不安は残りますね。

 3月に戦う北朝鮮は、けっこう危ない相手です。ハードワークしてくるし、球際も厳しい。アジアカップで日本が負けた試合を分析してくるでしょう。蹴ったら怖くないと思われて、それを徹底されたら日本は嫌なムードになる。

 そこでイラク戦やイラン戦のように何もできないのではなく、監督の技量というか、そこに打ち勝つような戦いを見せていかないと、選手の信頼を取り戻すことができないでしょう。W杯予選だけど、森保監督にとっては自身の今後を左右しかねない大事な試合になると思います。

取材・文=佐藤俊