サッカー日本代表は今月14日、AFCアジアカップカタール2023の1次リーグ初戦でベトナム代表と対戦。前半に2失点するなど苦戦を強いられながら、4-2の逆転勝利を収めた。元日本代表で、現在はサッカー解説者として活躍する城彰二氏は、この試合をどう見たのか。話を聞いた。

アジアカップ初戦・ベトナム戦に勝利したサッカー日本代表 ©時事通信社

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こぼれ球への反応など、日本は早く動けていなかった

――アジアカップの初戦、ベトナム戦は、4-2の逆転勝ちでした。

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城彰二さん(以下、城) ベトナムは、攻守において非常に良かったですね。5-4-1のフォーメーションで全体をコンパクトにして、昔のフラット3みたいに小刻みに全体を動かして守備をしていたし、日本にスペースを全然与えなかった。みんな、ハードワークして球際も厳しく、セカンドボールに対する反応も早かったので、日本は良い形を作れなかった。

 攻撃も日本のハイラインの裏を狙ったり、繋ぐべきところでは繋いだりして、意図が明確で、個々の選手の能力も高かった。トルシエが考えたプランをしっかり実践していて、非常にいいチームだなと思いました。

――日本は、セットプレーから2失点を喫しました。

 1点目は、ニアサイドで触ったのがたまたま入ってしまったというゴールだと思うんですが、ニアにフリーで入らせたらダメですよね。誰が誰をマークするのか、その取り決めができていなかったと思います。

 2失点目はボックス内に人がいるけど、相手が2人いるところで競り負けてしまった。GKの鈴木(彩艶)はもっとボールを弾くつもりだったけど、弾き切れていないし、そのこぼれ球への反応もベトナムのほうが早くて日本は動けていなかった。これは修正が効くところだけど、簡単にやられているのが気になりました。これがW杯なら致命傷になりかねないでしょう。

南野の同点ゴールが勝利のポイントだった

――日本は、格下のベトナムに対して、もっと楽に勝てると思っていたのでしょうか。

 自分も経験があるけど、相手が格下だと、「どっちみち勝てるでしょ」と思ってしまう部分があるんですよ。そういう意識だと、どうしても最初から力がうまく入らないのはあると思います。