――森保監督を含めたベンチワークが試されるところでもあったと思います。
城 名波(浩)コーチは、イラク戦でもイラン戦でも打開策をなにかしら森保監督に伝えていたと思います。ただ、森保さんは話を聞くけど、最終的には提言に乗らない。その結果、試合の状況を考えず、判で押したように久保(建英)から南野(拓実)、前田(大然)から三笘(薫)という同じポジションの選手を入れ替えるだけの交代になってしまった。
自分の思い通りにやる頑固さはあってもいいけど、イラク戦、イラン戦、2試合つづいて同じ結果になったのは、聞くだけで判断に反映しない頑固さが良くないほうに転んでしまったかなと思います。
城彰二が「チームが崩壊してしまう」と感じた守田の発言
――守田英正選手からは、ベンチからの声が欲しかったという話も出ました。
城 そこまで言わせてしまったのは深刻ですよ。選手は、ピッチ内で自分たちでやれることはやるし、それができるメンバーだと思います。でも、イラン戦は、このままいくとやられてしまうという危うさを感じていたと思うんです。そこでベンチワークで何か手を打ってほしいと思うのは、当然ですよ。そのための監督なので。
――野球やバレー、バスケなどのチームスポーツは、監督の声や采配で状況がガラリと変わることがありますね。
城 今、劣勢だからこうしようとかの指示や、状況を見ての選手交代があれば、それがメッセージになるので選手は安心して戦えるんです。それがまったくなかったし、仮に頭のなかにあったとしてもそれを選手に伝えないと意味ないんですよ。守田は以前からそういうのを感じていて、今回それが敗戦に繋がったのでメディアに発言したんだと思います。
選手がそう言うのはすごく勇気がいることだし、一歩間違えるとチームの崩壊にも繋がってしまうけど、それでも言わざるを得なかったのは、チームによほどの危機感を覚えたからだと思います。それを森保監督が、どう受け止めるかですね。今後も変わらないと本当にチームが崩壊してしまいます。
選手の声を聞くだけの森保監督には物足りなさが…
――守田選手を始め、遠藤(航)選手、冨安(健洋)選手は世界のトップレベルのチームでプレーしています。そういう選手からすると、手を打たない森保監督に物足りなさを感じてしまいそうですね。
城 選手は、森保監督のことをリスペクトはしていると思うんです。選手の話を聞いてくれるし、個で自由にやらせてくれている。チームの調子がいい時はそれで回るけど、個でやっている分、コンディションが落ちたり、試合で劣勢になった時、うまくいかなくなる。そういう時、海外の監督は、めちゃくちゃ指示を出すんですよ。
危機的な状態になっても何も言わない監督なんて欧州にはいないです。森保監督は選手の声を聞くだけで言わない。そこにはみんな、物足りなさを感じていると思います。