文春オンライン

「100分の1くらいでしょ」BiSHがなくなったら自分は…? モモコグミカンパニーが父親、そしてプロデューサー・渡辺淳之介から言われた“意外な言葉”

『解散ノート』より#3

source : ノンフィクション出版

genre : エンタメ, 芸能, 音楽, 読書

note

2019年12月23日

 個人面談で、BiSHがなくなったあと何がしたいかという話になった。

「正直、BiSHをとったあとの自分に何が残るのか……。BiSHがなくなったあとも自分に芸能界に残るような需要があるのか分からなくて。だから、『何がしたい』以前に、そこから定まっていなくて」

ADVERTISEMENT

 私がそう言うと、渡辺さんからは意外な言葉が返ってきた。

「お前は変わってるね。BiSHにかろうじて自分がいる、じゃなくて、自分がいるからBiSHなんだって、少しは思ってみてもいいんじゃないか」

 その言葉を聞いて、目の前の景色が180度変わる気がした。

©鈴木七絵/文藝春秋

 私も今のBiSHを構成する要素の重要な一つ。だから、グループがなくなっても何も残らないわけではない。きっとそういうことを言ってくれたのだと解釈した。

 今まで、私はBiSHという枠組みの中に辛うじてできた隙間に身体をねじ込んで、そこからはみ出ないようにしているような、窮屈な考えを持っていた。

 だけど、そんな枠は思い込みが作っていただけだったのだ。

 実際、私はBiSHを構成するほんの一部にしかすぎないだろう。だけど、ちゃんと一部だ。そこから何かを描いていくことだってできるような気持ちになった。