多くのファンに惜しまれながらも、2023年6月29日をもって解散したガールズグループ、BiSH。メンバーの一人であるモモコグミカンパニーは、「解散宣告」から東京ドームで行われたラストライブまでの3年半の日々を、リアルタイムで書き記していた。
ここでは、その赤裸々な記録を一冊にまとめたドキュメンタリーエッセイ『解散ノート』より一部を抜粋。「芸能人」として、「グループのメンバー」として、様々な評価に晒されてきた彼女が、世間の声に対して思うこととは。(全3回の2回目/最初から読む)
◆◆◆
「歌が下手」「ブス」
2020年4月21日
嫌な気持ちのする言葉を吐いてくる人がいる。例えば、BiSHはよく昔から「ブス」と言われたり、「歌が下手」と言われたりした。でもライブに来た人なら分かるかもしれないが、ライブでは「上手い」「下手」「かわいい」「ブス」があまり関係ない。そこじゃない。だから、「ブス」と言われても嫌な気持ちはするが別に悔しくはないのだ。
目に見えるものなんて、どんどん変えられるし、お金をかけたりすればある程度はみんなが手に入れられるだろう。しかし、空気や熱量なんかは、お金があれば生まれるわけではない。生きている、情熱を傾けてくれている人間がいるから生まれるものだ。逆に、BiSHのファンと名乗る人物がBiSHを説明するとき、「かわいいから」と言っていても私は別にそこまで嬉しくない。それだったら、「ブスだけど、なんか好きなんだよね」と言われた方が、嬉しい気がする。「ブスなのになんで?」「言葉では説明できないんだ、ライブ行ってみなよ」。こんな風に言われたとしたら、たとえ始まりが「ブス」という嫌なワードだったとしてもこちらとしてはありがたい。パッと見だけでは魅力が伝わらない……方が面白い。