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「芸能人オーラ、ゼロだね」

7月4日

「芸能人オーラ、ゼロだね」

 誰かにそう言われたとき、少しムカッとした。

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 でも、どうしてこの言葉にムカッとしたのだろう。自分の胸に手を当てて考えた。私は芸能人になりたかったのか、“芸能人オーラ”を出せなくて悔しいのだろうか。違う。キラキラしたいわゆる芸能人になりたくてこの仕事を選んだわけじゃない。そんな他人からの“キラキラ”のために頑張っているわけではない。

 じゃあ、なぜ。

「芸能人オーラ、ゼロだね」と言ってきたその人の頭の中に、「表に出る仕事=芸能人オーラ」、「一般人<芸能人」という式を見たからかもしれない。

 私は芸能人になって一般人の上に立ちたいわけではないし、そもそも一般人より芸能人の方が上だとは微塵も思わない。

「観客<ステージ上の人」というわけでもないだろう。

 そもそも、同じ人間で、ただ選んだステージが違うだけなのに、なぜ「一般人」「芸能人」などと全く別の人類のような区切り方をするのだろう。

 解散が決まってから、とにかく結果を出さないと、と以前よりもプレッシャーを感じるようになった。時間は限られているから、ここでしくじってはいけない、このチャンスを絶対にモノにしなくてはいけない。今やっている活動に新しく興味を持ってくれる人を増やしたい。そんな思いについていけるほどの実力が自分になくて、それでまた自分を責める。眠れない日も増えた。空回ってしまっている気がする。こんな感じで解散まで乗り切っていけるのか不安になる。

 でも、前向きに考えられることも増えた。いつかやれたら良いことは、今グループがあるうちにどんどん挑戦していこう。そんな姿勢を見てもらいたいと思った。これからの自分の活動との向き合い方の答え合わせは、「解散」を世間と共有したとき。私たちのことを惜しんでくれる人ができるだけ沢山いますように。モモコグミカンパニーに想いを馳せてくれる人がいますように。

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文藝春秋

2024年2月14日 発売