不況が長引くなかで、「海外のほうが稼げる」と海を渡る人が相次いでいる。それは、性風俗業界も例外ではない。しかし性風俗業の海外出稼ぎは、不法就労・国外退去などのリスクを伴う。それなのになぜ、海外で“風俗嬢”として働く日本人が増えているのだろうか?

 ここでは、“出稼ぎ日本人風俗嬢”の実態に迫ったフリーランス記者・松岡かすみ氏の著書『ルポ 出稼ぎ日本人風俗嬢』(朝日新書)より一部を抜粋。海外出稼ぎで年収4千万円を稼ぐホスト狂い・キョウコさん(28歳、仮名)の実体験を紹介する。(全2回の1回目/2回目に続く)

写真はイメージ ©AFLO

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大卒で手取り18万円。副業のキャバクラが「天職」

「行ってみたら意外と面白かったから、今も続けてます」

 海外に出稼ぎに行き始め、1年強になるというキョウコさん(仮名・28歳)。これまで出稼ぎに行った国は10カ国以上に上る。国にもよるが、海外では1カ月で約300万円を稼ぎ、昨年の年収は約4千万円。性風俗の仕事は、6年前にスタートした。

 北日本の出身。地元の大学に通っていた時にキャバクラで働き始めた。働くうちに、キャバクラの仕事は「天職」だと思った。

「私、お酒が好きなんですよ。人のお金でお酒が飲めて、酔っ払って、毎日が楽しい。それでお金も結構もらえる。こんなに良い仕事あるのかなって」

 卒業後、地元を離れて都市部で就職してからも、会社には伏せて、副業としてキャバクラで働いた。自分の意思でした就職ではなく、“親のエゴ”に沿った結果の就職だったと振り返る。

「親は“大学を卒業したら、もちろん就職するよね”という感じで、就職しない選択肢は、端から頭にない感じ。入った会社は月の手取りが18万円とかで、給料も安いし面白くないし、やってられなくて。キャバクラの副業で月30万~40万円は稼いでいたことで、月50万~60万ぐらいの収入があったから保てていたけど、会社の給料だけだったらやってられなかった」

会社を辞め性風俗業へ

 そのうち、会社に行くのが面倒になって行かなくなり、辞めることに。それを機に、大学時代から6年続けたキャバクラから、性風俗の仕事に転身した。