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そういう状況の中、自民党本部から河井案里氏側に1億5000万円が振り込まれていたこともわかった。これは溝手顕正氏の約10倍。官邸の力の入れ具合が「金額」で証明された。
中国新聞社の取材班による『ばらまき 河井夫妻大規模買収事件 全記録』(集英社、2021年)を読むと、今こそ重要な記述もたくさんある。
取材班が行きついた結論
1億5000万円のうち1億2000万円は税金から出ている政党交付金だった。政党交付金は使途を収支報告書に記載し、公開しなければならない。
《そんなカネを「ばらまき」に充てるだろうか。むしろ足が付かないカネを使うのではないか……。》
中国新聞は取材を積み重ねる中で行き着いた結論があった。それは、
《「1億5000万円はばらまきの原資になっていない。1億5000万とは別のカネが克行の下に流れてきて、ばらまきに使われた」》
というものだった。では気になる買収資金はどこから出たのか。河井克行氏がばらまいた現金には「新札だった」との証言が相次いでいたことから「官房機密費が使われたのではないか」との見立てをする元衆院議員もいた。使途は公表されないカネだからだ。
自民党の根深い金権体質
さらに「政策活動費」も注目された。
《政党にも使途報告が不十分なカネがある。最たる例が政策活動費。政治家個人に提供した場合、その政治家に使途報告の義務はない。自民党の19年の政治資金収支報告書によると、党幹部18人に計13億円の政策活動費を支出。うち約10億円は幹事長の二階に渡っていたが、何に使ったかは明らかにされていない。》