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《甘利氏が関係する主な政治団体や自民党の政治資金収支報告書(19年)を見ると、いずれの100万円も記載されていない。使途公開の義務がなく、事実上の裏金と指摘される自民党の「政策活動費」を使い、陣中見舞いとして「裏金」を全国で配り回っていた可能性がある。》(2月14日)

「政策活動費」&「裏金」というキーワード。いったん整理しておくと、政治資金パーティー「裏金」問題は自民党によるのらりくらり戦法で相変わらず全容が明らかになっていない。しかしそれとは別に「政策活動費」にも焦点が当たりつつある。

 政党から議員個人に支払われる「政策活動費」は使い道を公開する必要はない。自民党の二階元幹事長は、幹事長時代の5年間でおよそ50億円を受け取ったとされている。政策活動費の多くは選挙に投入されていたのではないか? その具体例として注目されているのが広島の大規模買収事件なのである。

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「溝手いじめ」と言われていた

 そもそも「河井夫妻大規模買収事件」とは何か。2019年7月の参院選広島選挙区にはどのような戦いがあったのか? これを振り返ると本当に興味深いのだ。

河井案里氏 ©文藝春秋

 同じ選挙区には自民党のベテラン溝手顕正氏(岸田派)がいた。しかし河井克行氏のパートナーである河井案里氏が新人として出馬した。自民党側からすれば「2人当選させて議席を独占」という建前なのだろうが、当初から「溝手いじめ」と広島では言われていた。理由は以下である。

安倍が許さない仇敵 岸田が悩む“仁義なき戦い”(週刊文春2019年6月27日号)

 安倍首相はかつて1回目の政権のときに溝手氏に痛烈に批判されたことがあった。大敗した2007年の参院選で安倍内閣の一員だった溝手氏は安倍氏の責任に言及したのだ。この恨みを安倍氏は忘れず、2019年の参院選で溝手氏への刺客として河井案里氏を送り込んだと報道された。そして河井克行氏は買収事件を起こしたのである。