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ベッドが置けない子供室

 下の間取り図のように子供室を3分割すると、北側の部屋は収納が邪魔でベッドを置くことができません。また北側以外の部屋には、収納がないため、3分割時に新たに収納を作る必要がありました。

 

 そのため、下図のように最初からベッドを配置できるように計画しました。勉強机を置くスペースはないので、下部に机が置けるロフトベッドを購入してもらうことにしています。

 

 水廻りを変更しているため、北側と中央の部屋の入り口は1つですが、ベッド廻りはプライバシーを確保できます。

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 このように将来的に部屋を分割したいと考える場合には、最初に分割時の壁や家具配置を検討の上、壁を取っ払うように計画するのが大事です。また照明やスイッチも分割時に問題がないようにすべきですね。

 広い部屋があると、なんでもできそうな気になりますが、最初から考えておかないと、「なぜこの位置に壁がある? 邪魔なんだけど!」ということになるので要注意です。

リビング階段は引きこもり対策にはならない

 ここからは、子育てと間取りについて、いくつか補足していきます。

 引きこもりが社会問題として注目されていた時期、「子供が自室に引きこもらないためにリビング階段にしたい」と要望される方が結構いました。ただリビング階段が引きこもりを防ぐために役立つというエビデンスは何もありません。

 リビング階段とは、言葉通りリビングに階段を配置した間取りのことで、子供が帰宅時に親に顔を見せたり、挨拶をしやすくなるメリットがあります。それによって挨拶ができる子供に育ち、親子関係も良好になるので、引きこもりにならない、という図式です。

 ただ少し考えればわかることですが、親との会話は帰宅時だけ交わすものではなく、食事中やリビングでテレビを見ている時のほうがずっと多いです。

©AFLO

 また挨拶は、リビング階段でなくても帰宅時に「ただいま」、出宅時には「行ってきます」と言えばいいだけですし、そもそも共働き世帯の場合、子供が帰宅する時間に親がいないことも多いです。

 家族の出入りをリビングから認識できることは重要ですが、必ずしもリビング階段である必要はありません。