人生で一番高い買い物といわれるだけに、家を購入する際は、誰しもがさまざまな要素を比較検討するだろう。しかし、購入者の意向を施工主に伝えられる注文住宅でさえ、3分の1以上の人が住まいについて「不満足」という回答をしているという調査結果がある。熟考したにもかかわらず、なぜ、住み始めてから後悔を感じるのか。

 その理由は「間取り」にあると指摘するのが、間取りのセカンドオピニオンとして活躍する船渡亮氏だ。ここでは同氏の著書『この間取り、ここが問題です!』(講談社+α新書)の一部を抜粋し、実際の間取り図を元に、住宅購入において検討すべきポイントを紹介する。(全2回の1回目/続きを読む)

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将来、揉めそう。広い子供部屋の分割

 夫が会社員、妻が専業主婦の高橋さん夫婦には、男女3人の子供がいます。長男5歳、長女3歳で、次女は生まれたばかりです。

 新居は、独自の換気システムを開発しテレビCMも行っている大手の住宅会社で計画中で、屋上や小屋裏収納のある2階建て住宅です。2階に浴室と脱衣室を配置し、洗濯がラクなようにルーフバルコニーや部屋干しスペースも確保しています。

 きょうだいで仲良く遊んでほしいと思い、東側に12帖の大きな子供室を計画しました。当面は、主寝室で川の字で寝るので、子供室は、フリースペースとし、おもちゃなど子供関係の収納にも使います。子供だけで寝られるようになったら、3分割し、個室として利用します。

 初めは大きく空間を確保し、思春期になったら分割する、というのは子供室の定番の手法です。この間取りの場合、ドアは、引き戸と引き違いで開口部が3つあることになるので、これなら部屋を3分割できそうです。

 

 高橋さんとしては、細かい部分は、子供たちが相談して決めてくれればと考えていました。ただ、このままですと、将来、子供たちの間でどの部屋にするかで揉め事が起きそうです。何しろ、北側の部屋はベッドを置くことができないのですから。