新しいモノがもてはやされる世の中で、「古きよき時代」を愛してやまない者たちがいる。往年の名車を現代によみがえらせる、旧車オーナーたちの素顔とは?

 今回は「Nostalgic 2days 2024」出展者のなかから、1971年式のダイハツ・ミゼット MP5に乗る男性をご紹介。

若い頃にはラリーを嗜み、数年前に初代レビンを購入。以来旧車の世界にハマりこんだ

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「手のかかる子ほど可愛い」は車でも

 古い車に乗るようになったのは、数年前にTE27のレビンを買ったのが最初でしたね。若い頃に趣味でラリーをやっていたこともあり、「いつか乗りたい」とずっと思っていたんですよ。

 それ以来、日々ガレージで手を入れてやるのが習慣になり、もう1台別の車も購入してみようかなと。今度は少し趣向の違う車を探していたところ、このミゼットを見つけたんですね。

1971年式のダイハツ・ミゼット MP5型

 レビンのように「是が非でも乗りたい」というほどの思い入れはなかったものの、いざ実車を見ると一目惚れしてしまって。幼少期にもちょこちょこ見かけていた車ではありますが、今の時代に見るとやっぱり印象が違いましたね。

 生産から50年以上が経つ車両ですが、購入する段階でとりあえず走ることはできましたし、外装もきれいな状態だったんですよ。三輪なので「不安定でしょ?」とよく言われますけど、実際に運転してみると小回りも利きますし、素直なハンドリングで運転しやすいですね。

スピードメーターの表示は時速100kmまで

 普段乗りには別の車を使いつつ、この車でも近場を少し流したり、ちょっとした買い物に出かけたりはしていますよ。やっぱり駐車場に停めておくと目立つようで、戻ってくると車のまわりに何人か集まっていることもありますね。

「俺もこれ乗っていたよ」「面白いのに乗ってるね」なんて立ち話につながったり、あとは下校中の小学生から手を振られたり。そうやって、車をきっかけにコミュニケーションが生まれるのも旧車の魅力なんでしょうね。

車体後方は荷台になっている。ホームセンターなどで活躍してくれるのだとか

 もちろん古い車ですから、それなりにお金と手間はかかります。部品も貴重なので、壊れていない箇所のパーツでも、オークションで見かけたらなるべく確保するようにしているんです。そうやって備えておく分コストはかかりますが、それで実際に助かることも多いんですよ。

 今までで一番困ったのは、ブレーキの不調ですね。ペダルが奥に行ったまま、戻ってこなくなる症状が何度も起きていて。原因を突き止めるのに苦労しましたが、先人の知恵もお借りしながら、どうにか解決法にたどり着けました。

普段は会社員をしながら、旧車2台のメンテナンスに勤しむ

 そういうトラブルと付き合いつつ、ちょくちょくガレージで調子を見てやるのが生きがいにもなっています。逆に言えば、トラブルの可能性を見越して楽しめないと、やはり古い車に乗るのは難しいんでしょうね。