新しいモノがもてはやされる世の中で、「古きよき時代」を愛してやまない者たちがいる。往年の名車を現代によみがえらせる、旧車オーナーたちの素顔とは?
今回は「Nostalgic 2days 2024」出展者のなかから、1990年式の日産・フェアレディZに乗る「703(なおみ)」さんをご紹介。
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「子育て後の人生」を豊かにするために
この車は2年ほど前、40歳の誕生日に買ったものなんですよ。それまでは普通にステップワゴンなんかのファミリーカーに乗っていたのですが、子育てが一段落したこともあり、人生の折り返しに好きな車を買ってみようと思って。
小さい頃から車には興味があったのですが、周りから「女の子に免許はいらないんだよ」と言われて育ち、結婚前には免許も持っていなかったんですよ。昔は車好きの伯父が身近にいて、色んな車に乗せてもらったり、鈴鹿サーキットに連れて行ってもらったりもしていたんですけどね。
それでも子どもが2人生まれ、さすがに抱っこで移動するのも厳しくなり、必要に駆られて免許を取って……車選びも子育て中心に考えていましたが、子どもが成長していくうちに、今後の人生についても考えるようになったんですよね。それから「40歳でZを買おう」と思い立ち、お金を貯めて、免許の限定も解除して。
状態のいい車両を探すのに苦労したので、この車両を見つけたときは、その日のうちにハンコと現金を持って実車確認に行きましたよ。そのまま、夫に相談することもなく契約を済ませました。
これまで家の車を買い替えるときも、毎回納車してから報告していたので、それが当たり前になっていたんですよね。ただ、いつもは「あぁ、車替えたんだね」くらいのリアクションだった夫が、さすがに今回は「なんかスゴいのいる……」とドン引きしていました。
反対に、息子の方は2人ともかなりの車好きなので、「Zいるじゃん……!」と興奮気味に、「マフラー換えようよ」「車高もっと落とそうよ」なんて騒いでいましたね。
長男はそれから免許を取って、今はポルシェのボクスターSに乗っています。まだ大学生なのですが、維持するためにバイト三昧で、ちゃんと学校に行っているのか……かなり心配です。
このZにはずっと乗っていたいと思っていますが、60歳になったらまた、別の趣味車を一台迎えられたらいいなと思いますね。今考えているのはFC(2代目RX-7)かNSXで、FCなら不動車を定年後にちょこちょこ弄って、死ぬまでに走るようになったらいいなって。そうしてその後も、誰か若い人に乗り継いでもらえたら素敵だなと思いますね。