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「光る君へ」吉高由里子は「今朝まで彼氏と一緒でした的な雰囲気が…」脚本家・大石静が色気を分析

「光る君へ」吉高由里子は「今朝まで彼氏と一緒でした的な雰囲気が…」脚本家・大石静が色気を分析

有働由美子のマイフェアパーソン

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 大石 まず真っ暗でしょう。だから髪の触り心地を感じたり、その人のために調合した香りを嗅いだりして、気持ちを高めていく。現代みたいに、顔で勝負しなくていいところがいいなと私は思うんですけど。

 有働 なんて率直な感想(笑)。

 大石 いま26話分書いていますが、映像で出てくるのはせいぜいキスシーンくらい。ただ、ほのぼのとしたエロスは、醸し出してゆきたいです。

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 有働 それはどう出すんですか?

 大石 セリフですね。私が『セカンドバージン』というドラマを書いた時、やたら濡れ場が多いと言われたけど、実は映像としてはあまりない。その分、セリフがきわどいのです。「あの人、体位を変えないんです」と言ったりして。今回は夜8時ですからそこまでは書かないですけれども、ちょっとずつまぶしていますね。でも見せ場はそこだけではないですよ。色気の話から始まったので話が偏りましたが、宮廷内の権力闘争や骨肉の争いがスリリングなので、そちらもご期待下さい。

清少納言とは格が違う

 有働 紫式部は清少納言と比較すると、気難しくて頭でっかちだった、というイメージがあります。

 大石 中学校くらいで、紫式部は陰に籠っているけれど、清少納言は明るいって習うんですよね。でも今回勉強してみて、この2人では才能が比較にならないと思いました。

対談中は終始、爆笑の渦に包まれていた ©文藝春秋 (有働氏衣装協力 キオイ/ロイヤル・アッシャー)

 有働 と言いますと?

 大石 清少納言は言葉選びのセンスがいいけど、内容としては、自分が仕えている中宮と、そのサロンがいかに素敵かというヨイショのエッセイです。一方、紫式部は「源氏物語」の中で権力批判や文学論、人生観……本人があまり恵まれた人生じゃなかったこともあり、生きることの虚しさなども描いています。男女の話の間に作者の人生哲学が深く描かれているからこそ世界で評価されるのではないでしょうか。なので作家としての格が違うんですよね、清少納言とは。

 有働 大河ドラマは、時代考証が厳しいとも聞きます。

 大石 ただ今回、紫式部の生年や少女時代は何の資料もなく、道長にしても生年がわかる程度。だから2人の少年少女時代は私のまったくの創作で、時代考証の先生も「どうぞご自由に」という感じでした。

 有働 大石さんの描いたものがそのまま視聴者の歴史観になりそうですよね。その気負いはありますか。

 大石 特にないです。森鷗外が江戸時代初期の肥後藩を舞台に『阿部一族』を書いた時、史実と違うと批判されて「私は歴史小説を書いたのであって、歴史を書いたわけではない」と反論したんですって。そういう感じです。

本記事の全文は「文藝春秋 電子版」に掲載されています(「『光る君へ』でほのぼのとしたエロスを醸し出したい」)。

「光る君へ」吉高由里子は「今朝まで彼氏と一緒でした的な雰囲気が…」脚本家・大石静が色気を分析

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