「時折、アナウンサー時代の夢を見ることがあります。『朝ズバに寝坊した』という夢だったり、『スタジオで失言して周囲が凍りついている』という夢だったり……。
それを知人に伝えると『あなたは本当に仕事が好きだったんだね』と言われますね。でも、いろいろな思いがあって、長らくTBSの番組は見ることができなかったんですよ」
そう明かすのは、元TBSアナウンサー・小林悠(38)さんだ。
「朝ズバ」「Nスタ」「報道特集」などで活躍
2010年に入社すると、1年目から情報番組「みのもんたの朝ズバッ!」に出演し、それ以後はニュース番組「Nスタ」「報道特集」で活躍するなど、次世代のエースとして将来を嘱望された。2016年、小林さんは看板報道番組「NEWS23」にキャスターとして抜擢。だが、番組開始の約1カ月前、突如降板が発表される。そして、同年3月4日に電撃退社すると、それ以後は一切メディアに登場することはなかった。
あれから約8年――。純白のコートに身を包み、東京都内のカフェに姿を現した小林さんは、柔和な表情でアナウンサー時代の苦悩と“第2の人生”について初めて明かした。
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「みのさんからは、昭和のテレビマンの気概を感じましたね。新人時代に、みのさんから厳しく接していただけたからこそ、その後も報道フロアで頑張れたという思いがあります。当時、私は番組で新聞紹介のコーナーを持っていました。
毎日、みのさんは『これ、どういう意味?』と必ず突っ込んでくる。ただ単にニュースを紹介するだけではいけない。そのうち『ここを突っ込まれるな』と逆算して準備するようになりました。今でも当時の経験が活かされています」
当時の就寝時間は夜8時。平日は深夜1時半に起床し、2時過ぎには出社する日々を送っていた。ラジオを担当する日は、朝8時半に「朝ズバッ!」を終えると仮眠をとり、午後1時からラジオ番組「たまむすび」の本番を迎えるという過酷な毎日だった。
安住アナからの忘れられない言葉
小林さんは、TBSの先輩アナ・安住紳一郎から言われた言葉を今でも思い出す。早朝のラジオ番組にピンチヒッターで出演することになった小林さんが打ち合わせをしていると、安住が姿を見せ、こう告げたという。
「あなたが結構上手にお話ができるのは僕、知っているから。だから、今日はゆっくり話してごらんなさい」
安住は、司会を務める「安住紳一郎の日曜天国」の放送前に彼女にアドバイスをするために立ち寄ったのだ。