文春オンライン

《“小説SMAP”第3弾》鈴木おさむが新作「くじけずにがんばりましょう」を月刊「文藝春秋」で発表

note

 3月21日 生放送当日。

 昼過ぎに、リーダーが、タクヤが、ゴロウチャンが、ツヨシが、シンゴがお台場のテレビ局にやってきた。

 3月11日以降、みんなと会ったのは初めてだった。

ADVERTISEMENT

 いつものように軽く笑顔で挨拶をすることはない。みんなそれぞれが覚悟を持ってやってきたことが分かった。

 まずは会議室にメンバーとスタッフ全員が集まり、今日の構成を話す。

 全員一言ずつ話してから、一曲歌い、曲が終わったあとは、街頭でインタビューした映像と募集したファックスを読みながら話していくと。

 そして最後に2曲歌う。

 番組は、歌以外のコーナーは彼らのトークに頼る部分が多い構成だった。VTRをもっと延ばすことも出来たが、それよりも彼らが今の思いを話すことが大事だ。彼らのリスクは増えるが、そこを信じないといけなかった。

 構成の説明をしたあとに報道部の人がやってきて、今の被害状況と、そして、言ってはいけないこと、言うべきではないことをレクチャーする。ネットでは噂が絶えない中で、テレビとして中途半端なことを言うことで視聴者がより不安になる。そのレクチャーが果たして本当に正解なのか分からないが、局としてもその生放送をやることに大きなリスクがあるわけだ。だからレクチャーをすることが条件だった。

当日、タクヤがオサムに言ったのは

 僕はそのレクチャーを聴いていて、「これを言われると、生放送で話せなくなるんじゃないか」と思った。

 だけど、そこも踏まえて彼ら5人はやるしかないのだ。

 どんな一流の芸人さんでもタレントさんでも、この生放送を行うことはリスクとの隣り合わせ。だけど、イイジマサンはやると決めた。彼ら5人もまた、やると決めたのだ。

 生放送が始まる前に、タクヤが僕に言った。

「オサムは何を信じてる?」

 色々な噂が流れる中、何を信じてどう行動してるのか? と聞きたかったのだろう。僕は答えることが出来なかった。

 大震災という未曾有の災禍がエンタメ業界に与えた甚大なダメージ。目を背けたくなるような日本の現状を前に、5人のグループ、スタッフが真剣に向き合い、被災地の人たちとともに再び立ち上がるまでの回復の物語だ。鈴木おさむ氏による「小説『くじけずにがんばりましょう』」は、「文藝春秋」2024年4月号(3月8日発売、「文藝春秋 電子版」では3月7日公開)に、23ページにわたり掲載されている。

文藝春秋

この記事の全文は「文藝春秋 電子版」で購読できます
小説「くじけずにがんばりましょう」

文藝春秋 電子版では下記の記事も読まれています

《“小説SMAP”第3弾》鈴木おさむが新作「くじけずにがんばりましょう」を月刊「文藝春秋」で発表

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文藝春秋をフォロー