そう、舞台は沖縄である。原作ではどのような街として描かれているのか知らないが、沖縄というアイデアが素晴らしい。狭い街、海に囲まれて出ていけない街、知り合いばかりの街。沖縄よりも小さい県である香川出身の僕にはズンと響くのだ。でも考えてみれば、東京などの大都会以外は、すべてこうかもしれない。なので、舞台がどこかも知る必要はない。

 キャストたちも知らなくていい。脇役に有名な役者さんが配置されているので、ちょっと嬉しくなる。それでいい。

江口洋介ら実力派俳優が脇を固める ©2024 GOLD BOY

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 一方、主役の少年たちは新人だ。本当に新人かどうかは関係ない。要は手垢の問題だ。少なくとも僕は知らなかったので、それでいい。岩井俊二作品の少年少女たち、塩田明彦作品の少年少女たち、みんな心に残っている。もちろんこの映画の3人も。演技なのか偶然なのか判らない表情と言い回しを切り取る。それが映画の素晴らしさだ。

東昇と対峙する少年少女を演じたのは、Go!Go!kidsのメンバー・羽村仁成、「nicola」の専属モデル・星乃あんな、ドラマや映画で活躍する前出燿志の3人 ©2024 GOLD BOY
「(3人が演じた)子どもたちが輝いていた。彼ら彼女が輝けばこの作品は成功するのではないかと思い、一番に子どもたちのことを考えていました。そのために時に厳しく、距離をとり、現場にいました」(岡田将生)©2024 GOLD BOY