1ページ目から読む
2/3ページ目
そう、舞台は沖縄である。原作ではどのような街として描かれているのか知らないが、沖縄というアイデアが素晴らしい。狭い街、海に囲まれて出ていけない街、知り合いばかりの街。沖縄よりも小さい県である香川出身の僕にはズンと響くのだ。でも考えてみれば、東京などの大都会以外は、すべてこうかもしれない。なので、舞台がどこかも知る必要はない。
キャストたちも知らなくていい。脇役に有名な役者さんが配置されているので、ちょっと嬉しくなる。それでいい。
一方、主役の少年たちは新人だ。本当に新人かどうかは関係ない。要は手垢の問題だ。少なくとも僕は知らなかったので、それでいい。岩井俊二作品の少年少女たち、塩田明彦作品の少年少女たち、みんな心に残っている。もちろんこの映画の3人も。演技なのか偶然なのか判らない表情と言い回しを切り取る。それが映画の素晴らしさだ。