「えりりん」といえば「山口恵梨子女流三段」――。日ごろの対局に加えて、聞き手やYouTube動画、最近ではNHK・Eテレの「将棋フォーカス」にも司会役で出演するなど、将棋ファンにとってはおなじみの存在だ。2024年1月には、「女流三段」への昇段を果たしている。

 そんな彼女を語り部にしたエッセイコミック『山口恵梨子(えりりん)の女流棋士の日々』(竹書房)シリーズの第3弾、『将棋のお仕事出張編』がこのほど刊行された。

 対局でも、普及の現場でも、そしてプライベートでも活躍する“攻める大和撫子”えりりんを描いているのは、自身も熱心な観る将ファンの「さくらはな。」さん。待望の第3弾刊行のタイミングで、あらためて作品への思いやこぼれ話を聞いてみた。

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将棋「初段になれるかな」会議でお世話になった高野秀行六段も登場

――今回の『将棋のお仕事出張編』のコミックに収録しているなかで、特にお気に入りのエピソードがあれば教えてください。

さくら もちろん全部お気に入りなので、全部語りたいところですが厳選して……。

 えりりんは、新将棋会館建設のため、クラウドファンディングの実行委員に選ばれます。中村太地七段(当時)と上村亘五段とリターン用のパーカーの撮影会をするのですが、中村先生がパーカーを着て登場するシーンが気に入っています。将棋「初段になれるかな」会議でお世話になった高野秀行六段も登場するので、ぜひ読んでほしいですね。

 第5局「盤外戦術は難しい」は、永瀬拓矢王座(当時)に貞升南女流二段との対局でのミスを指摘される話です。永瀬先生の「意外な趣味」をぜひ皆さんに知っていただきたいです。

©山口恵梨子・さくらはな。/竹書房

 第6局「里見香奈女流への想い」は、福間香奈(旧姓里見)女流五冠との対局のお話。対局中の感覚についてえりりんが熱く語っているシーンがあるのですが、実はこれでも省略していて、実際にはこの五倍くらいは語っていらっしゃいました(笑)。全体的にえりりんと同世代の福間先生への想いが伝わってくるお話です。

取材を通じて知った、棋士や女流棋士の魅力や意外な素顔

――前巻以降の出来事としては、えりりんの結婚という一大ニュースもありました。ファンにとっては、NHK・Eテレの「将棋フォーカス」で毎週活躍している姿を拝見できるようになったのも大きいですね。

さくら これはマンガには描き切れなかったのですが、「将棋フォーカス」で講座を担当されていた豊島将之九段とは、スタッフさんを交えて食堂でご飯を食べながら打ち合せをすることが多く、「豊島九段はけっこうラーメンを食べてました」「めっちゃ綺麗に食べられるんですよね」とおっしゃってました。ちなみに、ご結婚されてから、スマホゲームの「ガチャ」は前よりやっていないとのことです(笑)。

©山口恵梨子・さくらはな。/竹書房

――「山口恵梨子(えりりん)の女流棋士の日々」には多くの個性的な棋士・女流棋士が登場します。取材を通じて知った、棋士や女流棋士の魅力や意外な素顔を教えてください。

さくら 第14局「棋士会の飲み会」ではイベントの設営準備をするシーンがあるのですが、たくさんのタイトルを獲得したこともあるレジェンド棋士の佐藤康光九段と森内俊之九段がイスや机を運ぶと聞いて、一瞬信じられなかったです(笑)。それと飲み会! 棋士と女流棋士といえばものすごく飲むイメージで、私が参加したことがある飲み会では「スポーツドリンクなのかな?」という勢いでお酒を飲む方が多かったので、スマートな飲み会もあると聞いて驚きました(笑)。

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