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 この件を受けて新聞労連は『地方自治体で相次ぐ「質問封じ」に抗議する』(2月26日)と声明を出した。山梨県だけでなく徳島市でも同様の事案があるとして、

《山梨県と徳島市の事案に共通するのは、首長の取材に対する消極的な姿勢です。》

地方自治体に忖度がまん延

 山梨、徳島とも首長による直接の取材拒否の指示は確認されていないが、公人としての説明責任に背を向ける首長の姿勢が広報担当者に伝染してトップの顔色を窺う忖度が自治体にまん延していると問題視している。

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 代表的な例として、

《石川県の馳浩知事は、地元民放局が制作したドキュメンタリー映画の内容に対する不満を理由に23年3月以降、定例記者会見を開催せず、自身の都合で行う随時開催に切り替えています。》

馳浩氏 ©文藝春秋

 石川県の馳浩知事に言及していた。権力者が堂々と会見拒否している異常事態が石川県で続いている。

 ここで気になるのは地元紙の対応だ。石川県の北國新聞は馳知事の態度に声を上げていない。“地元の権力者同士”として仲睦まじく、他メディアの状況は気にならないようなのだ。

 では山梨県の地元紙・山梨日日新聞はどうなのか。県からの要請を受け入れたのか? 調べてみたら2月17日の一面トップで知事のインタビューを載せていた。次の一節に注目してほしい。

《山梨日日新聞は裏金などの認識などについて聞いているが、長崎知事は「質問自体がナンセンス」と述べ、明確な回答をしていない。》

 あ、ちゃんと裏金のことを聞いていた。では新聞の次はテレビだ。取材拒否されたというテレビ山梨のほかに県内にもう1局ある。山梨放送(YBS)だ。日テレ系列で山梨日日新聞のグループ企業でもある。