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「お恥ずかしいことに、指の先はありません」初めてのシノギは「知り合いの女の子を“沈めた”」こと…日本初の女ヤクザ・西村まこ(57)の壮絶人生

『「女ヤクザ」とよばれて』より #1

2024/03/24

genre : ライフ, 社会

note

 ですから、警察のお世話になること数知れず、結果、赤落ち(刑が確定し、刑務所に収容されること)もしていますし、出獄時の放免祝いも経験しています。そして、ヤクザの定番である「指詰め」もやっていますから、お恥ずかしいことに、左手の小指の先はありません。

初めてのシノギで「女の子を沈めた」

「女ヤクザ」として初めてのシノギは、私に多額の借金があった女性を売春宿に沈めたことです。

 具体的には、知り合いの女の子を、三重県志摩市にある渡鹿野島(通称・売春島)に売り飛ばしたことです。売ったのはヤクザになる前に私が経営していたデートクラブ「キャンディーズ」で働いていた少年院上がりのレイコという子です。

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 そのときは三重県のヤクザに紹介してもらい、渡鹿野島を仕切っている50代くらいの東さんというヤクザと知り合いました。東さんは、ごつい体つきの人で、筋金入りという感じの親分です。この人のシマは渡鹿野島であり、島内の店の事情を表も裏もくまなく知っていましたので、前借(前借金)がいちばん高く出る店に連絡を入れてもらったのです。

『「女ヤクザ」とよばれて』(清談社Publico)

 この島にはボロい漁船のような船で渡ります。島といっても、そんなに沖合にある島じゃないので、乗ったと思ったら、すぐに対岸の桟橋に着きます。東さんは「つたや」という店の女将には話を通していると言いますから、うちの若い衆とレイコを連れて、その店に向かいました。

 売りの交渉は大金が絡みますから、人任せにはできません。そこは私が女将と客間で対面して金額の交渉をしました。その結果、私が最初に提示した前借金350万円で手を打つことになり、現金はその場でもらいました。そのカネを懐に入れ、レイコには「頑張れよ」とかなんとか、軽く声をかけて店をあとにしました。

「お恥ずかしいことに、指の先はありません」初めてのシノギは「知り合いの女の子を“沈めた”」こと…日本初の女ヤクザ・西村まこ(57)の壮絶人生

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