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お土産選びが難航

 ボスクレセンスキー氏は8歳の息子のためのお土産を探した。北朝鮮にあったお土産は「主体(チュチェ)の原理」という小さなパンフレット、北朝鮮の国旗が描かれたバッジ、「アメリカは邪悪だ」というプロパガンダが書き込まれた絵はがきなど、政治の匂いがするものばかりだった。

 息子のためにプラモデルを探したが、弾道ミサイルや戦車など、軍事兵器ばかりだった。ようやく、見つけたのがデンマーク製の「レゴブロック」そっくりのデザインの箱に入ったオモチャだった。箱には朝鮮語で「組み立て式オモチャ」と書かれ、宇宙ロケットの絵が描かれていた。サンクトペテルブルクに戻り、息子と一緒に組み立てたが、説明書が雑なうえに、ブロックの質が悪くて、完成に手間取ったという。

馬息嶺スキー場でスノーボードを楽しんだボスクレセンスキー氏(イリヤ・ボスクレセンスキー氏提供)

観光客受け入れの狙いは?

 北朝鮮は現時点で、新型コロナウイルスの感染拡大前に年間約20万人規模で受け入れていた中国人観光客の訪問再開に踏み切っていない。新型コロナの感染リスクが消えていないうえ、北朝鮮による核実験の実施を巡り、中朝関係がぎくしゃくしていることが影響しているとみられる。

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 むしろ、ロシア人観光客の受け入れは、今後に予想される北朝鮮労働者のロシア派遣の環境整備という狙いがあるのかもしれない。北朝鮮労働者の海外派遣は国連安全保障理事会の制裁決議で禁じられている。ロシアも堂々と決議違反を犯すことには負担が伴う。観光客受け入れで人的往来の流れをつくり、北朝鮮労働者を「観光」や「留学」の名目でロシアに派遣するつもりなのかもしれない。

 ただ、制約だらけの北朝鮮観光が、ロシア人の間で早くも下火になる傾向が出始めた以上、このもくろみもどこまで成功するかはわからない。