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 ただ、注意書きには「ベジタリアン用のメニューはありません」という記述もある。乳製品なども楽しめないかもしれない。ロシア人の口に合うようなメニューも難しい。注意書きは「ナッツ、チョコレートバーなどの軽食を持参して、食生活を多様化し、北朝鮮での長い旅を過ごすことをお勧めします」と訴えている。

 また、シャワーの問題もある。注意書きによれば、24時間お湯が出るのは、平壌や金剛山などのホテルだけ。他の地方のホテルでは、朝と夕方の特定の時間だけしかお湯が出ないし、全く出ないケースもあるという。北朝鮮ではよく、電熱棒(投げ込み式ヒーター)を使って風呂を沸かすことがあるが、電気が来ない場合も覚悟しなければならない。

ツアーに参加したイリヤ・ボスクレセンスキー氏(左)。手にしているのは北朝鮮のビザ(イリヤ・ボスクレセンスキー氏提供)

ツアー参加者の感想は?

 実際、ツアーに参加した人はどう感じたのだろうか。2月9日から3泊4日の北朝鮮観光に参加したロシア・サンクトペテルブルクに住むイリヤ・ボスクレセンスキー氏は「欧米のリゾート旅行と全く違いました」と話す。注意書きにあったように、旅行ガイド抜きでの自由行動を固く戒められた。

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 金日成主席と金正日総書記の銅像での写真撮影は、「決して一部を切り取らず、全体を写すように」と指示された。銅像の前に立った観光客は両手を脇につけ、直立するように求められた。注意書きも、金日成主席と金正日総書記の遺体が安置された錦繡山太陽宮殿を訪れる場合、「ミニスカート、Tシャツ、ジーンズ、サンダルなどの着用は禁止という厳格なドレスコードを守ってください」としている。「チェックポイントでの写真撮影は固く禁じられています。制服を着た(北朝鮮の)人は、許可を得た場合にのみ写真を撮ることができます」とも説明している。

 ボスクレセンスキー氏は日本海側にある江原道・馬息嶺のスキー場から平壌までバスで移動したが、途中でほとんど人を見かけなかったという。「2600万人が住んでいる国、人口300万人という平壌に、実際には人がいないのかという印象を持ちました」と語る。北朝鮮は最近、外部からの情報流入に神経質になっている。観光客といえども、一般市民との接触を最小限に抑えたい意図があったのだろう。