昨年10月に統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に対する解散命令請求が文部科学省によってなされ、今年2月には東京地裁が教団、文科省から聞き取りを行なう初めての審問が開かれた。今後の焦点は教団が保有する財産の保全へと移った。霊感商法や高額献金の被害者を金銭面で救済するために、原資を確保しなければならないからだ。しかし、統一教会の資産の全容は、依然として明らかになっていない。
「いったい統一教会には、どのくらいの資産があるのか?」――。
『世界公的資産白書』を独占入手
かつて、同じことを知りたいと考えた人物がいる。韓鶴子総裁(81)だ。2012年9月3日、創始者の文鮮明教祖が死去。利権を巡る骨肉の後継争いの末に息子たちを追放した韓鶴子総裁は、自分が手にできる資産の中身に関心を抱いたのだ。
翌2013年の8月23日、統一教会の聖地である韓国の清平で、文教祖の1周忌を記念する行事が行なわれた。その場で韓鶴子総裁に、ふたつの文書が奉献された。そのうちの一つが『世界公的資産白書』である。統一教会の名義になっている全世界の不動産が一覧できるもので、作られたのはこのとき1回だけだ。
フリーライターの石井謙一郎氏は、『世界公的資産白書』を独占入手。この『白書』は、表紙に英語で『2013 White Paper on Public Assets Worldwide』と書かれており、中身はハングルと英語で、全22巻に加えて別冊がある。1巻から20巻までは、韓国にある資産の状況が掲載されている。21巻がアジア、ヨーロッパ、東北、アフリカ。東北とは、ユーラシア大陸の旧共産圏の諸国を意味する。22巻は北米、南米、オセアニア。別冊は総覧となっている。