「これは人の心の強さを力強く訴える物語」
しかし、本作の注目点は彼らの肉体だけではない。一家の関係性やそれぞれの内面を繊細に描いている部分もポイントだ。
ジェレミーは、彼らの人間性や心情を表現するにあたり、「私生活を映したものはほとんどなくて映像の彼らはいつもパフォーマンス・モードだった。だから素顔を知るために彼らを取り巻く人間関係を理解しようとしたんだ。兄弟同士の関係や父親との関係についてね」と、彼らの人間性や当時の生活を十分に理解する必要があったことを振り返る。
また、ハリスは「これは人の心の強さを力強く訴える物語だ。様々な不幸を乗り越えていくケビンの姿を通じて描かれる。いかに彼がすばらしい人間かよく分かるよ。それに本作ではメンタルヘルスや男らしさについて議論するシーンも多い。本作を観た人がある種の共感を得て、その共感が他の分野にも広がることを願うよ」と語っている。
「呪われた」プロレス一家の物語にして、現代にも通じる普遍的なテーマを描いている『アイアンクロー』は4月5日(金)より全国公開。
『アイアンクロー』
STORY
1980年初頭、プロレス界に歴史を刻んだ“鉄の爪”フォン・エリック一家。父フリッツ(ホルト・マッキャラニー)は元 AWA 世界ヘビー級王者。そんな父親に育てられた息子の次男ケビン(ザック・エフロン)、三男デビッド(ハリス・ディキンソン)、四男ケリー(ジェレミー・アレン・ホワイト)、五男マイク(スタンリー・シモンズ)ら兄弟は、父の教えに従いレスラーとしてデビュー、“プロレス界の頂点”を目指す。デビッドが世界ヘビー級王座戦へ指名を受けた直後、日本でのプロレスツアー中に急死する。さらにフォン・エリック家はここから悲劇に見舞われる。すでに幼い頃に長男ジャックJr.を亡くしており、いつしか「呪われた一家」と呼ばれるようになったその真実と、ケビンの数奇な運命とは――。
STAFF & CAST
監督・脚本:ショーン・ダーキン/出演:ザック・エフロン、ジェレミー・アレン・ホワイト、ハリス・ディキンソン/2023 年/アメリカ/132 分/配給:キノフィルムズ/4月5日公開