ティーンのアイドルとしてハリウッドスターの仲間入りをしたザック・エフロンも、もう36歳。ミュージカル、ロマンス、コメディなど、幅広いジャンルの映画で活躍してきた彼は、最新作『アイアンクロー』で完全なる変革を見せる。
脚本を読むまで知らなかった「悲劇の家族」
実話にもとづくこの映画でエフロンが演じるのは、テキサス出身のプロレスラー、ケビン・フォン・エリック。
ケビンと弟たちは、かつてレスラーとして名を馳せた父の指導を受け、日々、厳しい練習に励む。しかし、そんな仲の良い家族を、ひとつ、またひとつと悲劇が襲うのだった。
「ショーン・ダーキン監督からもらった脚本を読むまで、この家族のことはまるで知らなかった。ひとつの家族にこんな多くの悲劇が起きるなんて、信じられないよ。これはレスリングについてではなく、家族についての映画。ケビンが何度も喪失に直面し、最後にはそれを乗り越えていく話。ものすごく深い話だ」
ケビンは、4人兄弟の一番上。映画のはじめに、彼には兄もいたことが語られるが、実際には弟も、もうひとりいた。最後の弟を映画に入れなかったことについて、そこまで入れるとあまりに暗くなりすぎると思ったと、ダーキン監督は語っている。
「僕自身にも弟がいることが、このストーリーをよりパーソナルに感じさせてくれたと思う。兄弟は親友のようなもの。モチベーションを与えてくれる存在でもある。ショーンは、彼らの兄弟愛をしっかりと描いた。そして僕ら俳優は、本当の兄弟みたいになって、リングの中に入っていった。本当に素敵だったよ」