「この事件、解決しますか?」
〈昔から政財界には占いに傾倒する人物が多い。佐藤栄作氏は公邸で風呂上りにトランプ占いにふけり、中曽根康弘氏も「八卦を見る」と語っている。松下幸之助氏は新製品の発売時期や事業の先行きについて、時に占い師に助言を求めたと言われている。さらに、二階堂進氏や桜内義雄氏らが頼ったという「小田原の神様」村上嘉章氏や、「永田町の陰陽師」こと富士谷紹憲氏など、大物政治家たちに信頼されて名を馳せた占い師たちも、数多くいた。
中園氏は20代から占い師として活動後、脚本家に転身。『Doctor-X 外科医・大門未知子』(テレビ朝日系)、『花子とアン』(NHK)などのヒット作を手掛け、昨年、著書『強運習慣100』(エクスナレッジ)を上梓した。岩田氏はNHKを2022年に退局、『安倍晋三実録』(文藝春秋)などの著作を持つ政治外交ジャーナリストだ。〉
中園 私が占いを学び始めたのは14歳の頃でした。四柱推命は中国の陰陽五行説を元にして生まれた、人の命運を推察するもの。母の友人の今村先生に教わり、広告代理店を退職後、先生に付いて有名政治家や企業のトップも占いました。人間観察が出来ましたし、立派に見える方でも、人に言えない悩みがあるのだな、と。それがいまの脚本家の仕事にも役立っています。岩田さんもご自身で占いをされるんですよね?
岩田 学生時代にハマりました。雑誌で手相占いを見たり、ゲームセンターに置いてある、西洋占星術をもとに、氏名・生年月日・性別などを入力して占うゲームをしたり。一時期、お金を使い過ぎてしまい、破産寸前でした(笑)。手相、タロット、筮竹(ぜいちく)と、色々と勉強をして、大学の学園祭で占いをしたこともあります。
中園 筮竹も出来るんですか。
岩田 我流ですよ。でも竹の棒をカチャカチャ振って「火天大有(かてんたいゆう)の二爻変(にこうへん)」「今は悪いけれど、しばらくしたら破竹の勢いに!」と専門用語で説明したら、皆さんに「勇気が出ました」と、喜んで頂けました。
中園 言葉遣いが大物占い師そっくり。NHKに入ってからは?
岩田 岡山放送局にいた頃、警察官に「この事件、解決しますか?」と聞かれたことがあります。
中園 それは警察が頑張ってほしいですね(笑)。
岩田 政治部に入ってからは、宴席で上層部から「占いできるんだって?」と言われ、先輩の手相を見たことがありました。独身貴族で有名な方でしたが、恋愛線が光って見えた。「彼女いますか?」と聞いたら、先輩は「いないよ!」と。ところが、2週間後に婚約したんです。
中園 凄いじゃないですか。
岩田 お陰様で、部内での私の株が上がりました(笑)。
中園 占い好きには女性が多いですよね。女性は「運命」という言葉をポジティブに捉え、人生が変わって幸せになれると考える。でも男性は「運命」を怖いものと捉え、知りたくないと思う人が多い。
岩田 私の父も、占いが嫌いでした。