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大物政治家に「首相にはなれません」

 中園 ところが、政治家と企業のトップは例外です。あの方々は運命をプラスに捉える傾向がある。

 岩田 それはなぜでしょう。

実は占いにも詳しい岩田氏 ©文藝春秋

 中園 現在の地位に辿り着くまでには、もともとの能力の高さもさることながら、相当の努力を重ねてきたはず。でも、たとえば選挙では、ほんの僅かな差が勝敗を分けることもあり、「運」としか表現できないこともある。努力や能力だけでは、上手くいかないことを経験上、知っているからかもしれません。

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 岩田 政治家からどのような相談をされることが多かったですか?

 中園 やはり選挙です。急に政治家のお客さんが増えたら、選挙が近くなってきた証拠です。

 岩田 準備のためにまず解散の時期を聞きたいということですね。

 中園 選挙にどうしたら勝てるのか、そして誰と組めばいいのかなどもよく聞かれました。

 岩田 確かに、どのアドバイザーと組むか、他のどの政治家と組むのかも選挙では大事です。

 中園 先生の代わりに私が政治家を占うこともありました。26歳の時、50代の大物政治家が帰り際に「首相になれますか?」と聞いてきたんです。小娘占い師にですよ。私はその時、占いで出た通りに「知事にはなれますが、首相にはなれません」とハッキリ言ったら、「君の占いは当たらないな」と、ムッとされて帰っていきました。でもその方は何年後かに知事になりましたが、首相にはなれなかった。

中園氏が昔から愛用している占いノート ©文藝春秋

 岩田 完璧に当たっていますね。

 中園 存在感のある知事でした。いまだったら、もう少し伝え方を考えると思いますが(笑)。

 岩田 日本の政治の歴史を紐解くと、佐藤栄作さんや中曽根康弘さんなど、歴代首相たちも占いに傾倒していたそうです。最近も占い師の元へ通う政治家は多いですよね。

 中園 先日、親しい占い師の先生に聞いたら「男性のお客さんはほとんど政治家ですね」と言っていました。四柱推命は統計学なので、秘書が代理で来る場合もあります。

 岩田 私の知り合いの政治家にも、占いを気にする方はいます。02年頃、西洋占星術をベースにした占いが出来るコンピューターソフトを借りたんです。天体のホロスコープを利用したものでした。

 それを占い好きの自民党の閣僚経験者に見せたら気に入ったようで、20年近く経ってから「勝負をかけたいので、あのホロスコープがほしいのだけど」と言われました。正直すごく驚きましたね。

 中園 よっぽどそのソフトの出来が良かったんじゃないでしょうか。

 岩田 確かにコストのかかるものだったようです。意外だったのが、政策通で知られ、第1次安倍政権を支えた方。ご自身の当面の運勢を聞かれ「数年厳しいのでは」と伝えたんです。すると冷静に「なるほど、そういうことか。ありがとう」と、噛みしめるようにおっしゃったのが、妙に印象に残っています。

 ちなみに政党によって、占いが好きかどうか差はありますか?

 中園 やはり自民党の方が多かったですね。占いは大昔からあるものですから、伝統やしきたりに普段から慣れている議員の方が、親しみやすいのかもしれません。

本記事の全文は「文藝春秋 電子版」に掲載されています(「占い師と政治家」)。