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〈都知事選出馬を表明〉「恥を知れ」と罵倒、新聞記者に「失礼が過ぎる」と鼻であしらい…議会と決裂した元エリート銀行員の石丸市長(41)の素顔

映画評「#つぶやき市長と議会のオキテ」

2024/05/17
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 スクリーンに映し出される“つぶやき市長”こと石丸伸二は、予想外に感じがよかった。市長室の扉を終始開けて職員とコミュニケーションを図ったり、市長室でキックボードに乗って興じたり、得意のジャグリングをしてみせたりと、かなり魅力的な政治家として映っている。

©広島ホームテレビ

市のYouTubeのチャンネル登録者数は20万人を突破

 広島県安芸高田市の市長のことをネット上で知っている人は、石丸が議会に対し険しい表情で「恥を知れ」と罵倒したり、地元紙である中国新聞の記者に「失礼が過ぎる」と鼻であしらったりしている動画を見たことがあるだろう。

 過疎地の地方都市にすぎない安芸高田市が、ネット界隈で熱視線を集めているのは、この一風変わった市長のおかげだ。

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 人口2.6万人に対し、市長の“X”のフォロワーは30万人近くに上る。市のYouTubeのチャンネル登録者数は、20万人を突破した。

©広島ホームテレビ

カメラの前で終始にこやかな笑顔を崩さない石丸

 地元の広島ホームテレビが作ったドキュメンタリー番組の劇場版がこの映画。

 石丸の注目度は高い反面、物事を敵と味方にわける手法は、ポピュリズム(大衆迎合主義)とも呼ばれ、分断を煽ると批判されることも少なくない。

 それは私が2020年の米大統領選挙で取材したドナルド・トランプ前大統領の政治手法に通じる。トランプは、自分に対峙するものはすべて敵とみなすことで、怒りという負のエネルギーを糧にして前進しようとしたが落選。現在、再選をかけて3度目の選挙を戦っている。

 しかし、広島の“ミニトランプ”とも呼べる石丸は、カメラの前で終始にこやかな笑顔を崩さない。観る者は、これまでネットで流れてきた断片的な知識の修正を要求され、戸惑うこととなるだろう。

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