居眠りをする議員を事前の相談なしで“X”に晒す
石丸市政の物語は、19年の参議院議員選挙の際、大規模買収事件に絡み前任の市長が辞職したことから始まる。政治改革を訴えて当選したのが、政治経験ゼロで、元銀行員の石丸(当時37歳)だった。
石丸は地元の高校を出た後、京都大学を卒業し、大手銀行に入行。為替アナリストとして海外駐在も経験した。そのエリートが、田舎町の市議会と一緒になって政策を練って、傾きかけている市の財政を再建しようというのだから、一筋縄ではいかない。
先に仕掛けたのは石丸だった。就任直後の最初の議会で市長の“X砲”が炸裂する。
「本日午前、議会の一般質問が行われている中、いびきをかいて、ゆうに30分は居眠りをする議員が1名」
ハッシュタグに「#安芸高田市 #議会 #居眠り」とつけて、事前の相談や根回しなしに、“X”に晒した。
本日午前、議会の一般質問が行われている中、いびきをかいて、ゆうに30分は居眠りをする議員が1名。
— 石丸伸二(安芸高田市長) (@shinji_ishimaru) September 25, 2020
「市民の関心により生まれる政治の緊張感」が、まだまだまだ足りないという証左なのか。でも、傍聴席は一杯だったしなぁ…。
ここで、市民の皆さんにお返しします!!#安芸高田市 #議会 #居眠り
議会からすると完全な不意打ちをくらった形だ。予告もなく、いきなり背後から切り付けられたようなものだ。この男は、果たして信頼するに足りる人物なのか、という疑念が生じる。
市長就任からわずか2カ月足らずで議会と決裂
議会はすぐに石丸を呼び出し、“X”でのつぶやきの真意を追及する。
しかし、石丸は、返す刀で、議員から恫喝されたとつぶやき、さらなる対立を煽る。
この恫喝騒動については、石丸に名指しされた議員が名誉毀損に当たるとして石丸側を訴え、一審で恫喝発言は「事実とは言えない」として、石丸側が敗訴した。
議会が居眠りについての回答書を出すと、石丸は「国語のテストなら0点です」と見下すだけではすまず、“X”で回答書を晒した。
議会の回答書。国語のテストなら0点です。
— 石丸伸二(安芸高田市長) (@shinji_ishimaru) October 31, 2020
「受けた側が感じた時点で恫喝になる」
「威圧的と感じる発言はなかった」
「私が」「感じた」と訴えている以上、なかったという結論は成立しません。
なかったことにしたい議員の主張に、議論が引っ張られ過ぎです。 pic.twitter.com/H5t75je4ZO
この時点で、市長と議会との決裂は修復不可能となる。市長就任からわずか2カ月足らずのこと。