議会は市長の出した政策案をことごとく否決する泥仕合に
元エリートサラリーマンからすると、地方都市の市議などは、田舎っ兵衛や田吾作の集団にみえるのだろうか。歩み寄りや、譲歩するということがなく、対立だけが先鋭化する。その武器になるのが、“X”や自分の主張をそのまま報道してくれる報道機関。
これがもっとこなれた政治家だったらどうなっただろう、と想像せずにはいられない。清濁併せ呑むような懐の深い政治家だったなら、裏では市議会議員と酒を酌み交わしてパイプを保ちながら、表では厳しい態度で臨むような、二枚腰だって使えただろう。
しかし、石丸はあまりに潔癖すぎて、すべてをいい悪いの二元論で判断しているように映る。
議会は、市長の出した副市長の公募などの政策案をことごとく否決し、問責決議案まで可決してしまう。こうなると泥仕合である。
賛否両論をはらむ石丸市政にどのような審判が下るのか
カメラは、あくまで石丸に寄り添うことで、これまでSNSにあふれる怒れる市長とは異なる魅力を十分に引き出している。
その一方、この映画が市長に肩入れしすぎていないのかという見方も成り立つ。いみじくも、市長と対立する議員の1人が、カメラに向かい「(あなたたちは)市長と何か契約を交わしているんですか」と問いかけたことが端的に表している。
その部分をどのように評価するかは、映画を観る人に委ねたい。
石丸伸二は、2期目の安芸高田市長選には出馬せず、東京都知事選へ鞍替えすることを表明した。
"つぶやき市長"は、その思惑通り、"つぶやき都知事"へと華麗なる転身を果たすことができるのか。
INFORMATION
◆2024年5月25日(土)より東京・ポレポレ東中野にてロードショー ほか全国順次公開
https://tsubuyaki-mayor.com/