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「ループウィラー」のスゴイところ

――よく見ると、ディテールにも違いが。両サイドに縫い合わせの線がありません。

光木 それは旧式の吊り編み機で編むと、生地がシート状ではなく、筒状になるから。そのままボディに用いると、サイドに縫い合わせの無い丸胴になるんです。シルエットがすっきり見えるだけでなく、肌触りがよくなる、型崩れしにくくなるといったメリットも期待できます。吊り編み機が使われていた1960年代頃までのヴィンテージスウェットにもこの仕様が見られます。

 

 また、肩や袖付けなどの縫製は、生地同士を最小限の幅で重ね、古い4本針のミシンで縫い合わせるフラットシーマという仕様に。縫い合わせ部分が平らになるため、ごろつきがなく、着心地がよくなります。

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 こだわった生地やディテールが、単なる懐古主義に終わらず、着心地が良くなったり、型崩れしにくくなったり、着る人にとって実際的なメリットがあるのもループウィラーのスゴイところです。

(2)リアル過ぎるヴィンテージ加工「レミ レリーフ」

ブランド創業時から展開されている「SP加工裏毛クルー」は独自のヴィンテージ加工が見どころ。前後のネックと脇下から裾にかけてのガゼットもヴィンテージに見られるデザイン。1万7600円/レミ レリーフ(ユナイトナイン TEL:03-5464-9976)

――もうひとつのおすすめは……この雰囲気は古着でしょうか?

光木 いえ、こう見えて新品ですよ。「レミ レリーフ」という日本ブランドの定番「SP加工裏毛クルー」です。1930~1950年代のヴィンテージを踏襲したモデルですが、一番の見どころはレミ レリーフが得意とするヴィンテージ加工です。

 

――色褪せ具合といい、クッタリした質感といい、本物の古着のよう。

光木 古着の退色の原因は、空気中の酸素とスウェットの直接染料のアミノ酸が酸化結合して加水分解を起こし、炭素になって朽ち果てるから。そこでレミ レリーフは、わざわざ昔ながらの直接染料を使用して、ゆっくり時間をかけて退色させているんです。化学薬品を使ったヴィンテージ加工よりコストも手間もかかりますが、古着本来の自然なダメージを再現することができます。古着好きも舌を巻くほどのリアルな加工です。