本当にいいモノだけが求められる昨今。ハイブランドを筆頭に高額なモノの売れ行きは好調で、アメリカ生まれの高級革靴・オールデンもそのひとつだ。新作やリストックの発売日となれば、ショップオープン前に多くのファンが並び、ネットではプレ値で販売されるほどの人気っぷり。オールデンはなぜ人を惹きつけるのか…その魅力を深掘りしていこう。

高価すぎる革靴が売れているワケ

 オールデンはアメリカで職人がひとつひとつ手作業で製造し約3週間で一足を作り上げるという、決してタイパのいい仕事をしているわけでもない。さらに2016年から続く世界的な原材料費の高騰や円安の影響も受けて、ブランドアイコンとも言うべきコードバン(馬のお尻の革)の革靴はかつては10万円前後だったものの、今では15~20万円くらいのまで値上がりし、興味のない人からすれば見向きもしない価格になってしまった。

 それでもオールデンが売れ続けているのは、高品質な革を使いつつも抜群の履き心地のよさを兼備し、なによりスーツはもちろん、休日のラフな服装をバランスよくまとめてくれるトラディショナルなデザインが理由だろう。

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創立から140年を迎え、アメリカメイドを今なお貫く老舗ブランド

メイド・イン・アメリカを代表するシューカンパニー

 1884年、アメリカのマサチューセッツ州、ボストン近くのミドルボロウにて設立。創業者であるチャールズ・H・オールデンはカスタムメイドのブーツや、受注生産による高級ラインの紳士靴の生産に努め、現在のブランドの土台を築き上げた。均整回復を可能にする木型(ラスト)を考案し、足に抱える問題の治療や運動機能を補助するオーソペディックシューズの先駆者でもあり、紳士靴のあり方を変えた第一人者でもある。