スーツを着る際、シャツの下にはどんなインナーを着るものだろう? 普通の白Tやタンクトップ、何も着ないなど選択肢はさまざま。

 そんな男性のインナー事情に今、変化が起きている。ヨーロッパや日本の肌着ブランドが販売している高級インナーが人気を博しているのだ。人目につかないし、ユニクロなら1000円以内で入手できる。にもかかわらず、なぜ高価なインナーが飛ぶように売れているのか? 20年にわたって雑誌や広告のスーツスタイリングを手がけ、インナー事情にも精通したスタイリスト、川田真梨子氏に話を聞いた。(取材・構成/押条良太)

写真はイメージ ©iStock.com

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日本でインナーを愛用している人は多い

――以前、メンズのスーツ専門誌で、欧米の紳士たちはスーツを着る際、シャツの下には何も着ない、と読んだことがあるんですが……。着こなしのルール的にインナーはアリなんでしょうか?

川田真梨子氏(以下、川田) 本来、シャツは肌着ですので、素肌の上に一枚で着るのが正式とされています。それにヨーロッパの洒落者たちの中には、シャツの胸元からインナーのネックが見えたり、中のインナーがうっすら見えたりするのを、「エレガントじゃない」とイヤがる人が少なくありません。

 ただ、欧米の男性がインナーを着ないのは、気候によるところも大きいでしょう。涼しくて乾燥したヨーロッパならともかく、高温多湿な日本では、夏はもちろん、冬でも汗をかくことがあります。となると、シャツの生地だけでは汗を吸収し切れず、脇や背中に汗ジミができてしまうことがあります。そういった実用性から、日本ではインナーを愛用している人は多いんです。

スタイリストの川田真梨子さん

インナー選びのポイントは?

――なるほど、インナーは実用品なんですね。ただ、ジャケットを脱いだ時に、インナーを着ているのが丸わかりなのはちょっと気になります。

川田 そう、インナーは「目立ちにくさ」が命。一番のポイントはデザインで、首元は深くとられたVネックか、大きく開いたクルーネックであれば、シャツの首元から見えにくくなります。