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 シャブを身体に入れると、拍動痛というのですか、ズキンズキンと指に響くのです。シャブで神経が鋭敏になるからだと思います。

 断指後も普通にケンカして人を殴ったりしていましたから、傷口の治りは人より遅かったと思います。指が膿んで、自分で膿を出して消毒していました。そろそろ治ったころあいを自分で見計らい、抜糸もみずからセルフでしました。

「指の落とし賃」に3万円置いていくヤクザも

 それ以降、ほかの組員の指詰めを頼まれるようになり、少なくとも五本は落としました。「まこ、指落としてくれや」と頼まれると、「いいよ」と快活に応じ、木のまな板を用意し、包丁を指の裏の関節に当てて、上からブロックで一気にバンと落とす。

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 この「一気にバン」が大事で、ためらわないことが肝心です。「ありがとうございました」と礼儀正しくお礼を言い、指の落とし賃として3万円置いていく人もいました。

ヤクザに囲まれた若かりし頃の西村さん(写真:本人提供)

 一度、いつもは威張っている仲間が指を落とすことになりました。すぐに病院に行けるように病院の前の公園で落としてやることにしたのです。このとき、普段威張っているヤクザ者が「ヒエーッ」と言いながら病院に走り込む図を見たときばかりは、一緒にいた連中とおかしくて大笑いしたものです。

 ある幹部のヤクザは指を落とすときになったら、「まこ、もうちょっと上、いや、もっと上」と言って、なかなか腹を決めて落としません。「うっせーな、何をケチっとるんや。指の一本くらいで大騒ぎしやがって」と思いましたが、指先一センチくらいを落としてやりました。この人の指は落とした部分が短かったからか、のちほど爪が生えていました。