“元ジュノンボーイの詐欺師”からかけられた懸賞金はなんと1000万……違法行為を戒めるために突撃したことで、詐欺師グループによる報復行為に悩むことになったYouTuberのKENZO氏。
ところが、そんな彼らと一度は和解することになった理由とは……? KENZO氏による初の著書『突撃!:新宿109 詐欺・悪徳マルチ撲滅活動日記』(彩図社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/前編を読む)
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意外な誘い
いま思えば、黒田に対する突撃は、俺の勇み足な面もあった。
突撃にあたっては、本来、入念な下調べが欠かせない。
ターゲットは何者なのか、どんなバックがついているのか、何人で動いているのか、そして突撃をした場合にどんな抵抗してくるのか……そうした点をある程度把握しておかないと、思わぬトラブルに陥るおそれがある。
黒田のケースでは、その下調べが甘かった。話題になりそうだから早く撮影したい、と焦るあまり、知らず知らずの間に危険な領域にまで踏み込んでしまっていたのだ。
もちろん、Instagram上の脅迫が、何の後ろ盾もないハッタリの可能性はある。
しかし、俺がやっているのは、それこそ何の後ろ盾もない状況で、たったひとりで犯罪者にケンカを売っているようなものだ。
「夜道は気おつけろよ この人数晒したら どうなるか」
「このメンバーに懸賞金かけます。幹部16人から総額1000万円の懸賞金」
この言葉に、俺は少なからず恐怖を感じた。
黒田たちなら、本当に一線を越えて、俺に危害を与えるかもしれない。
そう思うと、いても立ってもいられなくなった。
そうして俺は、黒田たちに和解を持ちかけることにした。いまとなっては情けない限りだが、このときは恐怖で仕方がなかったのだ。
黒田に連絡を入れると、話し合いの場を設けてくれることになった。
指定された新宿・歌舞伎町のカラオケ店に向かうと、黒田の他にこの間の2人もいた。席につくと、改めて紹介を受けた。
体格のよい短髪の男は、八林凌也と名乗った。仲間内では“カネキン”と呼ばれているという。関西なまりで体格がよく、押しの強さを感じた。もうひとりの男は、三浦大貴といった。
和解の話はスムーズに進んだ。