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西村 外に出るのが嫌ではなくなりました。あとは、自分に期待して鏡を見て「ダメだな」とがっかりすることもなくなりました。自分で言うのもなんですけど、中学の頃、自分の顔は良くもなければ悪くもない、けどちょっと“良い”寄りぐらいに思っていたんです。中の上くらいかな、と。

 でも、どんどんSNSも出てきた時期で、比べる対象も出てきて……。高校生になってニキビができてからは、誰かに容姿を褒められても全部嘘だと思っていました。「肌がこんな状態なのに、良いもクソもあるか」って。

 鏡を見ても、落ち込むことが多かったんです。そういう自分に対して正確な評価が全然できてない時期があったんですが、メイクとかウィッグによって、鏡を見るのが嫌じゃなくなったのはありますね。

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──褒められても自己評価が低くて受け入れられない気持ち、よくわかります。

西村 そうなんですよね。そういう気持ちが収まったのが、19歳ぐらいでメイクをしはじめてからで。それからは、周りにも認めてもらえるようになったし、客観的に自己評価できるようになってきたところはありますね。

「月一で美容院に行くよりも、ウィッグ買ったほうが安い」

──ちなみに今は、ウィッグはどれくらい持っているんですか?

西村 ウィッグは40個ぐらいです。自分で買ったり、ファンの方が送ってくださったりして、どんどん増えています。

──結構お高いのでは……?

西村 全然ですよ! 1つ2000円ぐらいです。Amazonとかで売ってます。

──意外と安いんですね。

西村 ウィッグを使い始めたときに思ったのが、僕、もともと15歳くらいの時に、髪を染めてたんですよ。青髪とか赤髪とかにしていろいろ遊んでたのが、今みたいになった原因かもしれないですけど。ただ、僕は美容師の友達に安くやってもらえていたんですけれど、正規の美容院で髪を染めると、1回2、3万くらいかかるんですよね。

 そのあと自分のハゲに気づいてどうしようかってなったときに、「月一で美容院に行くよりも、ウィッグ買ったほうが安いな」って気づいたんですよ。坊主にするのはいつも1000円カットだから、ウィッグと合わせても3000円くらいなんで。

ウィッグをかぶる西村さん ©三宅史郎/文藝春秋

──現代的な思考ですね……! コスパ重視、みたいな。

西村 しかも僕は就職していないのでいつでもできますけど、ウィッグだったら週末だけでも金髪にもできますし。

──以前動画の中でも「ナチュラルメイクだと、人に会ってもほとんど気づかれない」と話をしていましたね。

西村 そうですね。ナチュラルメイクなので、色がついたアイシャドウとかはしていないんですが、その状態なら「メイクしてる?」と言われたことはほぼないです。ウィッグも100人中1~2人ぐらいの割合でしか言われたことがないです。気づいていても言わない人がたくさんいるとは思うんですけど、自分から「ウィッグなんだ」って言っても「気づかなかった」と言われることが多いですね。

──ちなみに現在は27歳で、動画クリエイターが主な肩書だと思うのですが、就職は考えなかったんでしょうか?