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――犬さんがギャンブルを始めたのは何がきっかけだったんですか。

 1年浪人して大学に入って、予備校の友達と一緒に行ったパチンコが最初だと思います。その後ポーカーとかいろいろやったしアミューズメント系のカジノで働いてたこともありますけど、結局バカラが一番好きですね。

1枚21万円のチップ。これがテーブルの上を飛び交う

――ギャンブルで一番やみつきになるのはやっぱり勝った瞬間?

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 勝った瞬間はもちろん嬉しいけど、僕の場合はテーブルにお金とかチップを置いて手を離した瞬間ですね。

――どういうことでしょう。

 それまでは迷ってるわけじゃないですか。このお金はさすがに使ったらまずいかなとか、こんなことしてる俺はダメだとか。でもそれを振り切って「えーい、行ったれ」と手を離した瞬間にもう後戻りできなくなる。あの瞬間に、何かから解放される感じがあるんですよね。

「そうそう。会社とか大学を辞めたことあります?」

――もう何も考えなくてよくなる、みたいな。

 そうそう。会社辞めたことあります? 僕は何回も会社辞めてるし大学も中退してるんですけど、「辞めます」って言う瞬間ってめっちゃ気持ちいいんですよ。いろいろ考えてても、言っちゃったら後戻りできないじゃないですか。お金をテーブルに置いた時もそうで、この先どうなるかは分からないけど、自分は決断したぞっていう解放感がある。多分ですけどこれは、水原さんが捕まった時にも似てる気がしますね。

ギャンブルで作った負債が60億円超えと報道された水原一平氏 ©時事通信

――水原通訳の「60億円負け」には驚きましたが、犬さんはどんな風にあのニュースを見たんですか?

 億単位で負けた人の感情を覗いてみたい、とは思いますよね。60億は明らかに本人がどうこうできる額を超えてるじゃないですか。だから王子製紙の人の100億負けより水原さんの60億の方が興味ありますね。羨ましいじゃないけど、そういう限界の感覚を求めてギャンブルしてるところはあるので。

――限界を超えた感覚になったことはありますか?