巧妙に嘘をついて金銭を騙し取る方法を書いたマニュアルを“パパ活女子”に販売し、自身も金銭をだまし取ったとして、詐欺などの罪に問われていた「頂き女子りりちゃん」こと渡辺真衣被告(25)。名古屋地裁は22日、渡辺被告に懲役9年、罰金800万円の判決を言い渡した。
「詐欺になることはわかっていた」と容疑を認めていたという渡辺被告。“パパ活女子のカリスマ”は、一体どんな手口を使ったのか。事件を報じた「週刊文春」の記事を再公開する(初出:「週刊文春」2023年8月29日掲載 年齢・肩書は公開当時のまま)。
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恋愛感情を利用して金銭をだまし取る。そんな“パパ活女子”にとって垂涎のノウハウを記したマニュアルを販売したなどとして、愛知県警は8月23日、自称風俗店店員・渡辺真衣容疑者(25)を詐欺ほう助の疑いで逮捕した。
「渡辺容疑者は、詐欺手法を克明に記したマニュアルを販売し、LINEなどの通話アプリで詐欺行為を手助けした疑いで逮捕されました。渡辺容疑者は『詐欺になることはわかっていた』と容疑を認めています」(社会部記者)
SNS上で「りりちゃん」と名乗り、『魔法完全攻略マニュアル』なるパパ活の虎の巻を販売してきた渡辺容疑者。男性に金銭を貢がせ豪遊する「頂き女子」の代名詞は、一体どんな半生を経てパパ活女子たちのカリスマになったのか。
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『記憶から消したいくらい家族が嫌い』
渡辺容疑者の拠点は新宿・歌舞伎町。2018年から街に根付き、そこで出会った友人らと過ごす中でカリスマとしての知名度を上げていく。20代女性のAさんとは、毎日のように顔を合わせ、お互いの過去や悩みを吐露していた。
「りりちゃんは神奈川県で生まれ、両親と姉の4人家族です。彼女が警察に補導されたときはお母さんが迎えに来ていました。『父親っぽい人はDV気質だし、姉っぽい奴も家にいる』と話していて、母親以外には嫌悪感を抱いているようでした。『記憶から消したいくらい家族が嫌い』とも言ってましたね」(Aさん)
ホス狂にかかる費用をまかなうために生まれた“頂き女子”
小学校6年生になった頃には家出を繰り返すようになり、ネットで知り合った男性の元に転がり込むこともしばしばあったという。高校卒業後はトリマーの専門学校に進んだが中退。地元の携帯ショップで働き始めたが、仕事は長続きしなかった。18歳でソープ嬢になった渡辺容疑者は、やがて歌舞伎町へと流れ着いた。Aさんが続ける。
「20歳の頃のりりちゃんは、ホストクラブに毎日通い、月に150万円を浪費する立派な“ホス狂”でした。そのせいで家賃の支払いができなくなって借りていた部屋を解約。ホテルやホストの家を転々とする生活を始めました。自宅を持たない“ホームレスりりちゃん”の誕生というわけです」