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――遠野さんが年々女性として成長するにつれて、お母さんとの関係は悪化していきましたか。

遠野 はい。ただ、私が女優をしていることが彼女にとってステータスであり、アクセサリー感覚であることは変わらずでした。例えば私がお付き合いしている有名人の方を、母が働いているスナックに連れていくと、大喜びしたりみんなに見せびらかしたりするんです。

 逆にそうしないと、ものすごい言い方で「あんな男」などと非難したりもしますし、振り回されっぱなしで。それでも「母を喜ばせたい」という考えからは、当時は抜け出せなかったですね。

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母の不倫相手の奥さんが家に怒鳴り込んできて…

――遠野さんは、ずっと見続けている悪夢があるそうですね。

遠野 いい夢なんて見たことないですね。私は4人きょうだいの長女なんですけれど、下の子たちを守る夢をすっごくよく見るんです。もうみんな大人なのに、私の中ではあの子たちはまだ小学生や中学生で、そんな彼らを何かから守ろうとして庇っている夢で。起きると体がこわばって身体中が痛いし、とても疲れます。

 あとは、母もたまに出てきますけど、いつも顔は覚えていなくて。多分自分を守るために記憶から消そうとしているんだと思います。内容も、母という存在と戦おうとするのではなく、彼女を守ろうとしてるんですよね。

――子どもの頃、お母さんの不倫相手の奥さんが、家に押しかけてきたことがあるそうですね。その経験がトラウマになっているから、ごきょうだいを守ろうとする夢を見るのでしょうか。

遠野 どうだろう。当時、まだ中学生だったんですが、母の不倫相手の奥さんがインターホンを鳴らして怒鳴り込んできたことがあって。母はそのときいなくて、私がきょうだいを守らなきゃ、という気持ちでいっぱいでした。体が震えるくらい怖かったのだけれど、「母はいません、帰ってください」と応答すると、私のすすり泣く声に気づいたのか、何も言わずに帰って行きました。

 

 ただ、その経験からというよりも、私が子どもだったとき、母はラブホテルに行ったりして家を空けていることが多かったんですね。だから下の子たちのご飯を作ったり、お世話したりして「この子たちを育てていかなきゃ」という気持ちがとても強かったんです。その責任感というか、プレッシャーが根強く残っているのが悪夢に影響しているんじゃないかと。