子ども時代に母親から虐待を受けた影響で、15歳で摂食障害となった俳優の遠野なぎこさん(44)。現在も病と闘っている遠野さんは、近年、SNSやメディアを通して自身の症状や経験を伝えている。なぜ彼女は、摂食障害を公表し、発信を続けているのか。摂食障害に対する社会の理解に、どのような思いを抱いているのか。話を聞いた。(全3回の3回目/1回目から読む)
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自殺願望や希死念慮で苦しんでいた時に救われた理由
――遠野さんは、摂食障害で悩んでいた時に救われたことはありますか。
遠野なぎこさん(以下、遠野) 昔、自殺願望や希死念慮で苦しんでいた時に、同じように摂食障害の方の本を読み漁っていた時期がありました。その方は、摂食障害を克服されたんですよ。だから「あ、治ることもあるのか」と希望を見出せましたよね。そこで赤裸々に語られていたことに救われた部分がすごくあるので、自分もそういう存在になりたいと思うようになりました。
もっともっと摂食障害についての知識が広まればいいと思いますし、生きやすい世の中になってほしいと思いますね。
――遠野さんはインスタグラムで摂食障害について発信していますが、ご自身が、フォロワーの方に助けられる時もあるのでしょうか。
遠野 はい、基本的になんでも肯定してくださるので、助けられています。「今日は何を食べた」と投稿すると「頑張ったね」と言ってくださったり。リアルをさらけ出しているので、自分の生活についてもいろいろ書いていて。体重を書くと、その数字に引っ張られてしまう人もいるのでそれは書かないようにしているんですけど。
何も食べられなかった日でも「ゆっくりでいいんだよ」と言ってくださったりして、私自身も励まされています。
自分に合った病院を見つけるのは時間がかかる
――遠野さんが通われている病院は、どのようにして見つけたのですか。
遠野 知り合いの方に紹介していただいて、1年くらい通っているんですけど、すごく理解のある先生で。最初、栄養ドリンクを飲むのにも抵抗があったときに「そうしたら、今はやめておきましょうか」と言ってくださったり、拒食期に「1キロ増えました」と報告したら「頑張りましたね」と言ってくださったり。お酒に関しても「ダメではないですよ」と否定しないでいてくださるので、すごく救われています。