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――芸能人の発信やSNSの影響で、どうしても自分の容姿を意識する機会が多くなっていることも関係していそうですね。

遠野 芸能界の人たちは特殊な仕事をしていて、特に俳優さんやモデルさんはメディアに出ることを意識して生活している人ばかりですから。そういう人たちの体型や容姿を基準にして、過度に憧れてはいけないと思います。芸能界はフィクションの世界ですから、影響されすぎないでほしいです。

 

「太ってるのになんで摂食障害なの?」外見だけで判断する言葉の危険性とは

――容姿や体型に悩んでいる人に向けて、何かメッセージをいただけませんか。

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遠野 まずは自分のことを、自分で認めてあげてほしいなと思います。容姿って他人に見せて認めてもらうものではないので、他人の言葉に一喜一憂したりするのは、無駄な時間だと思ってほしいですね。自分のために可愛くなって、自分のためにメイクして、自分のために好きなお洋服を着て、それをすべて自分がハッピーになるためにしてほしい。

 気軽にダイエットを始めることもあるかもしれないけれど、行き過ぎると、知らぬ間に摂食障害になることもあります。そうしたらもう抜け出すのは難しいし、すごくお金がかかるし、体力も奪われて、自信も無くなっていくんですね。この沼にはまったら一生苦しむ可能性が高いことを、わかってほしいです。

――摂食障害についてあまり詳しくない、あるいは当事者の方を支えている周囲の人々にもメッセージをいただけませんか。

遠野 もし身近に摂食障害の方がいたら、そっと見守ってあげてほしいですね。外見のことにとても敏感になる病気なので、刺激するようなこと、例えば「痩せて綺麗になったね」とか「太ってるのになんで摂食障害なの?」「怠けてるだけじゃないの」とか、そういう風に外見で判断するようなことを言わないであげてほしいし、食事を無理強いしたりもしないであげてほしいです。

 ほんの些細なことでスイッチが入っちゃう人もいるので、相手のペースに任せつつ、できればそっと包み込むような接し方をしてあげてもらえたら、と思います。もし大切にしたいと思っている人が悩んでいるなら、本や専門書を読んでいただきたいし、病院に行けずに苦しんでいる人がいたら、ぜひクリニックを勧めてあげてほしいなと。

 誤解をしたり、知識がない状態で相手を治そうとせず、正しく理解をしてそばにいてあげてほしいなと思います。

 

撮影=佐藤亘/文藝春秋