幼い頃から母親の虐待や育児放棄に遭い、成人後もそのトラウマに苦しんできた俳優の遠野なぎこさん(43)。母から解放されるために絶縁するも、それによって精神的に不安定な状態に陥り、自傷行為に及んだこともあるという。
いったい、彼女の過去に何があったのか――。著書『一度も愛してくれなかった母へ、一度も愛せなかった男たちへ』(ブックマン社)でも公表している壮絶な母子関係や家庭環境について、改めて話を聞いた。(全3回の2回目/1回目から続く)
◆◆◆
母親がダブル不倫、相手の妻が家に怒鳴り込んできたことも
――6歳で子役を始められて、16歳で家を出て1人暮らしをされたとのことですが、遠野さんはどのような子供時代を送られたのでしょうか。
遠野なぎこ(以下、遠野) 小学校5年生のときに両親が離婚して、翌年、母が再婚をしたんです。その再婚相手が、私の子役の現場にいたスタッフさんでした。
でも、それから母が妻子持ちの男性とW不倫を始めて。その男性は、当時、母が勤めていたスナックのオーナーで。それがのちの母の3人目の旦那で、母の自死のきっかけになった人なんですけど。
――著書の中で「母の不倫相手の妻が家に怒鳴り込んで来た」と書かれていましたが……。
遠野 ありましたね。私がまだ13歳のときに弟や妹たちと家にいたら、いきなりインターホンが鳴って。子供たちしか家にいないと知られたら危険なので普段通り居留守を使ったんですが、何度も何度もインターホンを鳴らされて。すると女性が「ちょっと! いるのはわかってんのよ! あの女を出しなさいよ!」と叫びだしたんです。
恐ろしくてみんなで身を寄せ合って気配を消して。でもこれ以上騒がれると近所の人に知られてしまうので、仕方なく受話器越しに「母はいません、帰ってください、家族の前に現れないでください」と大声で伝えました。
――遠野さんは怖くなかったのでしょうか。