遠野 私がバラエティ番組に出始めたのは母と絶縁したあとなんですけど、それでも「観てくれてるのかな」と思ったりしましたね。舞台をやっているときは「もしかしたら来てくれているんじゃないだろうか」とか、馬鹿みたいですけど思ってました。
今はもう居なくなったからそんなことはなくなりましたけど、つい最近までやっていた舞台でも「もしかしたら」と淡い期待を抱いている自分がいて。自分でも「まだ母に認められたいのか」と思いましたけど。
女優の仕事にやりがいを感じていた16歳の頃に初めて自殺未遂
――どこかで、お母様との関係を修復したかったのでしょうか。
遠野 いえ、それはありませんでした。修復できるわけがないほどのことをされてきましたから、そこまでは夢見てませんでしたね。
――もしもお母様が舞台を見に来られていて「すごいね」と言ってくれたとしたら、遠野さんはどういう風に感じたと思いますか。
遠野 嬉しかったと思います。でも、そこから関係修復はないでしょうね。だって、また傷付けられるに決まっているから。
期待してしまうと、突き落とされたときに本当につらいんです。もうこれ以上裏切られてしまうと、「自分を保てない。死を選んでしまうかもしれない」とすら思っていました。
――衝動的に死を選んでしまいそうになる、ということですか。
遠野 そうです。16歳の頃、初めて自殺未遂をしてしまって。連ドラに続いて単発ドラマへの出演が決まり、女優の仕事にやりがいを感じ、演技に喜びを感じていた頃でした。
でも、その頃に母が2度目の離婚をして。それ自体は良かったんですが、母はすぐに不倫相手と再婚し、3人目の旦那がうちにやってくることになりました。どうして大人はこんなに勝手なんだろう、こんな人たちからあの子達を守らなきゃ、というプレッシャーで心が大きく揺れたんです。
――それも衝動的に、ですか。
遠野 はい。次の日に、私がメインとなるシーンの撮影がいくつもあったことも負担の要因だったのかもしれません。
撮影の前日に、自分の部屋で睡眠薬を大量に飲んでしまって。気付いたらベッドに横たわっているんですが、体が動かないんです。立ち上がろうとすると全身を殴られるような衝撃があって。それから、救急車で病院に運ばれました。