遠野 いえ、恐ろしくてたまらなかったです。恐怖で震えていましたが、とにかく「この子たちを守らなきゃ」という一心で。私のすすり泣く声が聞こえたのでしょう、インターホン越しに相手は黙り込んで、そのまま帰って行きました。
不倫相手の男性器の写真を見せてくることもあった
――お母様はかなり奔放な印象を受けますが、子育てなどはどうされていたのでしょう。
遠野 まったくですよ。「ラブホテルに行く」と言って家を空けることもありましたし。だからきょうだいたちの面倒は、いつも私が見ていました。
――不倫を隠そうとする気はなかったということですか?
遠野 はい。2人目の旦那も分かっていましたけど、何も言いませんでした。なんなら、母は私に恋愛相談みたいに「今日、ダンスしながらキスしちゃったの」とか、逐一報告してきたり。
あとは、私にいきなり「この写真を見てほしい」と言って、不倫相手の勃起した男性器の写真を見せてきたこともありました。思春期で、しかも処女の娘に。
――では遠野さんは下の子たちの面倒を見ながら学校へ行って、子役のお仕事までされていた?
遠野 そうですね。だから自分のことを、あの子たちの母親だと思っていました。お弁当を作ったり、夜ご飯を作ったり。弟や妹たちには食事も、家庭的なきんぴらだとか、そういうものを作って食べさせてあげたかったんです。私が親からしてもらいたかったことを、全部してあげたかった。
一番下の妹が火傷をして救急病院へ、そのとき母は…
――彼らの成長が心の支えだったんですね。
遠野 はい。一番下の妹は一回りも年齢が違うので、私が1人暮らしを始めてからもうちに泊まって、うちから学校に通わせたりして。
でも一度、一番下の妹が実家で火傷をしてしまったことがあって。カップラーメンを1人で食べようとしたらしいんですけど、内股に大きなケロイドができてしまったんです。それで私、すぐに実家へ駆けつけて、夜中に救急病院へ連れて行ったんですよ。まだ小さな女の子がそんな傷を、って心配だったので。
――そのとき、お母様はどちらへ?