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 病院で目を覚ますと、駆けつけたマネージャーが青ざめた表情で「あなた、なんてことをしてくれたの」と。そして体調を気遣う言葉もなく「明日の入り時間、少し遅らせてもらったから」とか言うんですよ。

――助けを求められる人が周りにいなかった、という遠野さんの言葉が、理解できたような気がします。

遠野 そうですよね。その後、事務所の決定で、ドラマの撮影が終わったタイミングで女優業を休業することになってしまって。

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 私が引き起こしたことですが「自分から芝居をとったら何が残るの」と。そこも母から認めてもらいたいと言う気持ちがあるんだと思いますけど、絶望感でいっぱいでしたね。

 

3年の休業後、朝ドラのヒロイン役に合格

――活動を再開されたのは、その3年後だそうですね。

遠野 はい、事務所から2年半ぶりに電話があって。「朝ドラのオーディションを受けてもらうから」と。それがNHKの連続テレビ小説『すずらん』のヒロイン役でした。合格が決まった時、うれしくて一番最初に母親に報告したんです。

 母とは16歳のときに家を出てから連絡すら取っていなかったのですが、真っ先に知らせたくて。

NHKの連続テレビ小説『すずらん』ではヒロイン役を務めた(NHK公式サイトより)

――お母様はどんな反応でしたか?

遠野 電話越しに合格を告げると「そう」とだけ。それから「明日、事務所にもう一度確認してみなさいよ。あんた昔からそそっかしいから、聞き間違えだったら恥ずかしいじゃない」と言って一方的に電話を切られました。

――まったく興味がない、というような?

遠野 いえ。私に祝福の言葉をかけたくないだけで、その場にいたスナックの客たちには自慢していたと思います。

撮影=三宅史郎/文藝春秋

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