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海外にまで報道された「無駄遣い批判」

 そこで町役場は外部のアドバイザーに協力を仰ぎ、経済効果を試算した。その結果、建設費用と観光需要の増加額を合わせた経済効果は6億円以上だったとし、「投じた建設費の22倍の効果を上げた」と反論した。また、「無駄遣い批判」が海外にまで報道されるなどした「宣伝効果」も“測定”し、約18億円の効果があったとした。

 “逆宣伝”の効果は抜群だった。

「無駄遣いが批判された巨大モニュメント」と言われれば、見たくなるのが人情だ。

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 関西から来た応援派遣職員2人が「ひと目だけでも見たい」と思ったのもうなずける。

「それにしても、でっかいなぁ」

「被災前の町内にはイカ料理が美味しい居酒屋があったのかな」

 2人は感想を述べ合う。

 イカの駅で買い物をするなどした客数は、イカキングが設置された2021年度に約8万9000人だった。翌2022年度は11万7000人に増えた。2023年度も月平均1万人の来客があったという。

 だが、2024年1月1日に発生した能登半島地震で、能登町は震度6強の揺れに見舞われた。

深刻な事態をもたらせた能登半島地震

 石川県が4月23日時点でまとめた被災状況によると、能登町の死者は2人(他に災害関連死が6人)で、負傷者は39人。住家被害は6488棟にのぼり、うち308棟が全壊とされた。住民基本台帳上の人口が約1万5000人、約7000世帯の町にとって、どれほど深刻な事態だったか。

 九十九湾は「台風が押し寄せてもほとんど波が立たない、まるで湖を思わせるような景勝の地です」と観光看板に書かれているほど穏やかな入江だが、あの日は違った。

 近隣住民の話を総合すると、激しい揺れで住宅が損壊したり、液状化が起きたりした後、波高約2mの津波が押し寄せた。

 1階が呑まれた家もあった。

 岸壁はかなりの距離にわたって崩落し、係留してあった漁船が沈没したり、陸に打ち上げられたりした。

 道路がえぐれて海と化した場所もあった。

 道路や岸壁のアスファルトはうねり、ヒビ割れて、歩けたものではなかった。

地面がどんどん割れていく。漁船のところまで岸壁があった(イカの駅つくモール近くの九十九湾)

 元旦で休業していた「イカの駅つくモール」も浸水し、イカキングは数十cm浸ったとされる。

 しかし、これでも被害は小さかった方なのかもしれない。町が発行したハザードマップによると、一帯の想定浸水深は3~5m。2階まで水没する深さだ。