文春オンライン

「下道に降りる」でもない「右車線をキープする」でもない…実証実験で明らかになった“本当に正しい渋滞対策”とは

渋滞対策のホント #1

2024/05/02

genre : ライフ, 社会,

note

迂回する場合は入念な準備を

「渋滞していても高速の方が早い」とはいっても、変わらない景色やトイレの不安など、高速道路上の渋滞そのものが我慢ならない人もいるだろう。

 そのような場合には、あらかじめ混雑区間を下道で迂回するプランを用意しておき、それを旅程のうちに組み込んでしまうのも手である。あらかじめGoogleマップやYahoo!カーナビなどのアプリで迂回ルートや寄ってみたい施設を登録しておくと、状況に応じて行き先を決めやすくなる。

 いずれにせよ、ある程度「連休中には渋滞が起きるもの」という心づもりでいた方が、さまざまなケースに対応しやすくなるはずだ。迂回プランを考えるほか、車内で楽しめるコンテンツを準備したり、携帯用トイレや眠気覚まし、酔い止めなどの車載品を用意したりと、「最悪のケース」を想定した備えをしておきたい。

ADVERTISEMENT

©AFLO

渋滞中の高速、一番空いているのは左車線?

 渋滞する高速道路を走りつづけていると、どうしても気になるのが「どの車線が一番早く進むのか」という問題である。さしたる違いはないとしても、隣の車線ばかりが進んでいるように見えれば、やはり小さなストレスが蓄積されていく。

 一般的な傾向として、渋滞中の高速では「左車線」がもっとも早く進むといわれている。これは道路が混雑するにつれて、ドライバーが「渋滞する前になるべく進んでおこう」と右車線に集中することによる。

 たとえばNEXCO東日本が東北道上り線の佐野藤岡IC~館林IC間で行った調査においては、車線ごとの利用割合は追越車線が44%、第二走行車線が36%、第一走行車線が20%という結果だった。混雑を察知した車が次々に右の方へ車線変更していくことで、詰まった右側車線にブレーキの連鎖が生じ、混雑が悪化していくのである。

 ここで、NEXCO東日本が同区間に左側走行を呼びかけるLED標識を設置したところ、車線ごとの割合は追越車線が38%、第二走行車線が34%、第一走行車線が28%と均一化し、最大渋滞長は22kmから10kmまで減少する効果が見られたという。

 このように混雑時は「左側の方が車の数が少ない」傾向にある。到着時間を早めるうえでも、混雑を緩和するうえでも、なるべく渋滞に差しかかる前から左車線に移っておくことが有効というわけだ。

◆◆◆

 続きでは、自分勝手な運転がいかに渋滞をひどくさせるのか、イライラしがちなときだからこそ抑えておきたい、渋滞の緩和にもつながる正しい“渋滞運転時のマナー”に迫る。

「下道に降りる」でもない「右車線をキープする」でもない…実証実験で明らかになった“本当に正しい渋滞対策”とは

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー