宮内庁のInstagram(インスタグラム)が4月1日に公開された。すでに100万人以上のフォロワーを得、順調な滑り出しを見せたように思われる。正直に言うが、予想以上にそのコンテンツは優れているように感じる。宮内庁に広報室ができてから1年。やっとSNSに取り組むようになったのかと思う一方で、待ったかいがあったとも思う。おそらく、この1年の間、広報室を中心に庁内では様々な検討がなされたのだろう。

4月23日、春の園遊会に出席された天皇皇后両陛下 ©AFP=時事通信社

宮内庁がインスタグラムを選択した理由

 さて、なぜそもそもインスタグラムなのか。イギリス王室はインスタグラムだけではなく、X(旧Twitter)、Facebook(フェイスブック)など様々なSNSを活用している。他の王室も同様である。それに対して、日本の宮内庁はインスタグラムを選択した。その理由として、若い世代に皇室のことを知って欲しいという思いからだと説明されている。たしかに、私のまわりの印象で恐縮であるが、SNSの利用を見ると、若い世代からTikTok(ティックトック)→インスタグラム→X→フェイスブックを利用しているように感じる。インスタグラムは10代から20代の若い世代が積極的に利用しているのではないか。未来の日本を担う世代に、皇室のことを知って欲しいという思いが宮内庁にはあるのだろう。

 天皇の「象徴」という立場は、主権者である日本国民の総意に基づくものと日本国憲法では規定されている。つまり、国民に関心を持たれなくなってしまっては、その地位が危うくなる。将来を考え、若い世代に訴求力のあるインスタグラムが選択されたのだろう。

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 さらに言えば、Xなどには誹謗中傷があふれている。以前私は、上皇后に対してそうした空気があることを紹介したことがある。未だにその流れは変わっていないように思われる。それに比べると、インスタグラムには異なった空気感がある。そのように、比較的安全なSNSをまずは選択し、それがインスタグラムだったのだろう。