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事実を看過せず、検証すべき

 この厳密な解析条件をクリアしたのが、今回の論文の筆頭著者である宜保美紀氏だ。高知県の臨床医で、疾病予防や寿命延長をめざして人の集団のデータ収集・解析などを行う「公衆衛生学」を大学で研究していた経歴の持ち主だ。

 3つの条件すべてをクリアし、解析された結果はというと……。

〈パンデミックの最初の年(2020年)には、有意な超過死亡は観察されなかった。しかしながら、2021年の1回目と2回目の集団ワクチン接種後に一部のがんによる超過死亡が観察され、2022年に3回目の集団ワクチン接種後に全てのがんと一部の特定の種類のがん(卵巣がん、白血病、前立腺がん、口唇/口腔/咽頭がん、膵臓がん、および乳がんを含む)で有意な超過死亡が観察された〉(論文冒頭の「抄録」より)

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 福島氏が解説する。

〈このすべての原因がワクチンにあると言うつもりは毛頭ありません。ただ、集団接種のタイミングと特定のがんの死亡率上昇が一致するという現象が、我々の解析の結果、明らかになった。その事実を看過せず、検証すべきことは検証しましょうと提言したいと思います〉

新型コロナウイルスワクチンの大規模接種センターを訪れる人たち 大阪市北区の大阪府立国際会議場 ©️時事通信社

パンデミック以前には考えられなかったことが起きている

 そもそも、がんは日本人の死因で最も多く、24.6%を占める(2022年人口動態統計)。だが、2006年にがん対策基本法が成立した後は、国の計画どおり、すべてのがんの年齢調整死亡率は2020年まで順調に下がっていた。

 ところが、今回の論文をみると、日本でワクチン接種が開始された2021年、その低下がストップしたのだ。

 福島氏はこう語る。

〈がんに関して、パンデミック以前には考えられなかったことが起きているのではないかと感じます。

 新型コロナワクチン接種事業の中止を求めてきた「有志医師の会」のメンバーからも、同様の実感を聞きます。

 実際に診療していて、急に腫瘍が大きくなるとか、体調の異変に気づいて来院した人がもう末期だったとか、「最近おかしながんが多い」と口々に語るのです〉

 すべてのがんで死亡率が上昇しているわけではない。歴然とデータに表れた「部位別」の超過死亡率の差はいったい何を意味しているのか。がん患者の体内で、どのような変化が起きていると推測できるのか。福島氏が解説する「コロナワクチン後遺症とがん」は、5月10日(金)発売の「文藝春秋」6月号に10ページにわたり掲載されている(「文藝春秋 電子版」では5月9日に公開)。